足まわりの進化がスゴいことに! カメラと連動するハイテクサスペンションとは?
メルセデス「Sクラス」が先鞭をつけた「カメラ連動アクティブサスペンション」。そこで、今後、自動運転とも連動して進化と普及が進みそうな「カメラ連動アクティブサスペンション」を解説。合わせて、メーカーごとにどんな機能なのかもご紹介します。
サスペンションがカメラと連動?
クルマのハイテクといえば先進安全技術や電動化技術に注目が集まりがちな状況ですが、実はサスペンションも大きく進化しています。
2013年にメルセデス・ベンツが「Sクラス」などに搭載しはじめた新時代のサスペンションは、搭載されるカメラによって路面状況をクルマが検知、ダンパーの減衰力などを自動制御してくれる「アクティブサスペンション」のさらに先を行く技術です。
今ではアウディやシトロエン、トヨタも似たような機能を持たせたサスペンションを開発しており、さらに普及しそうな気配を見せています。
そこで今回は、この「カメラ連動型アクティブサスペンション」を解説。さらにメーカーごとに、その特徴的な機能や仕組みを紹介します。
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まずは、この「カメラ連動型サスペンション」の凄さを理解するためにも、ベースとなる「アクティブサスペンション」について改めて理解しておくと分かりやすいと思います。
アクティブサスペンションはクルマの各部に取り付けられたセンサーからの情報によって、サスペンションのセッティングや車体の姿勢を受動的に電子制御するものです。
多くのアクティブサスペンションは油圧回路と空気バネを用いており、その歴史は意外に古く、1950年代にはシトロエンで開発がスタートしていましたが、日本でメジャーになったのは「フルアクティブサス」をセールスポイントにして1989年に登場したニッサン「インフィニティQ45」からです。
また最高峰のレースであるF1の世界でも、1990年代の始めにはアクティブサスペンションの優位性が認められて普及。ダンパーとスプリングを油圧制御することで、優れた路面追従性によるコーナリング性能の向上と、姿勢制御によってストレートでの車速向上を両立しました。
しかし、開発費の高騰やレギュレーションに違反する使い方が懸念され、1993年に禁止されました。
公道を走行するクルマの場合は路面の凹凸やコーナリングを検知し、ダンパーやバネのセッティングを制御して、安定した姿勢と優れた乗り心地を目指して、アクティブサスペンションが開発されましたが、次第に各メーカーとも開発から撤退。
しかし、近年は再び脚光を浴びることになりました。
今までのアクティブサスペンションは、運転席から任意に選んだモードによって減衰力を変化させたり、路面から受ける衝撃や振動を検知し、減衰力やバネレートを自動制御するというものです。いわば衝撃や振動を上手にいなすための受身の技術でした。
ところが、最新のカメラ連動型アクティブサスペンションは、ここからさらに一歩踏み込み、搭載されるカメラで路面の状況を検知し、衝撃が入力される前に最適な減衰力に制御するシステムとなっており、さらにスムーズな乗り心地を実現しました。
これには、安全装備と連動したカメラの搭載、路面の凸凹を検知するスキャニング能力、それらの情報から瞬時にサスペンションの減衰力調整をおこなう処理能力といった高度な性能が求められます。
そうした技術の根幹であるカメラの分解能とコンピュータの演算速度の向上によって、さまざまなメーカーで採用できるようになりました。
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