ホンダが儲かるEVビジネスを展開!? 交換式バッテリーが実現する「電気のバケツリレー」とは
「電気のバケツリレー」って何?
次に、本題である「電気のバケツリレー」についてですが、まず、ホンダeを移動できる大きなバッテリーに見立てます。
そこからすでに量産している給電装置「パワーエクスポーター9000」を介して、電気を取り出し、モバイルパワーポッドに充電。この中には1つのモバイルパワーパックが入っており、2台並列運転できるので、電気容量は2.6kWhです。
これを、ポータブル電源とすれば、災害時でも家庭向けに最低限度の電力を確保することができます。
また、モバイルパワーパックを4つ備える、定置用の「パワーストレージe」があります。
さらに、すでに発売しているハンディタイプのモバイルバッテリー「LiB-AID(リベイド)E500」を家庭やオフィスで併用することも可能です。
このほか、トヨタと日野が共同開発した燃料電池バス「SORA」を発電所に見立てて、そこからパワーエクスポーター9000やモバイルパワーボッドeへと、まるで給水車のように電気を配ることができます。
この考えをもとに、すでに全国各地の防災関連イベントで実演し、地方自治体や電力会社がその効果を十分に認識しているといいます。
こうしたさまざまな手法の「電気のバケツリレー」を通じて、ホンダが現時点で描いているビジネスモデルがあり、それはフィリピンやマレーシアでの社会実証を通じて得た知見をもとに考えられています。
具体的には、電動車向けとして搭載するバッテリーはホンダとしてユーザーに販売せず、ホンダの資産として管理することで、バッテリーの稼働率を上げ、また劣化のバラつきを抑えます。
そして、電動車向けとして活用したバッテリーを、今後はユーザーの理解を受けたうえで、事実上の二次利用として新規パワープロダクツ用として活用するなど、長期的な視野でバッテリーをホンダが管理維持すれば、バッテリーコストを低減でき、二次利用時では十分な利益が出るはずだといいます。
岩田氏は「各国での実証での“学び”が、四輪EVでのビジネスモデル構築のヒントになるはずです」と、EV事業化への光明を見出したと表現します。
このところ、ボルボが2030年にEV専業メーカーになると宣言するなど、EVシフトが急激に進みそうな雰囲気になってきましたが、そうしたなかで、ホンダのeMaaSが今後どのような事業として実現するのか、大きな期待を持って見守りたいと思います。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
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