名車と迷車は紙ひと重? すき間を狙ったけど明暗が分かれた車5選
人気があるジャンルのクルマでは、必然的にライバルが存在します。ライバルがいるからこそ改良を重ねて、より良いクルマとすることを目指しますが、あえてライバルがほとんどいないジャンルに挑戦したクルマも存在。そこで、すき間を狙ったけど明暗が分かれたクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
ライバルを出し抜いたけど明暗が分かれたクルマを振り返る
現在、日本で人気のあるクルマというと、軽ハイトワゴンやミニバン、SUVが挙げられますが、これらのジャンルのクルマではライバルが数多くひしめいています。
各メーカーとも売れるクルマを販売するのは当然のことで、ヒットしたクルマに追従することも戦略のひとつだからです。
一方で、ライバルがほとんどいないジャンルに挑戦したクルマもあり、そうしたクルマのなかにはヒットしたモデルと、残念な結果となったモデルが存在。
そこで、すき間を狙ったけど明暗が分かれたクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
●スバル「レガシィ グランドワゴン」
1989年に誕生したスバル初代「レガシィ」はセダンとステーションワゴンをラインナップし、高性能なエンジンと4WDを組み合わせたことで一躍人気車となりました。なかでも「ツーリングワゴン」は高性能ステーションワゴンブームの火付け役となり、各メーカーが追従したほどです。
1990年代になると、日本ではRVブームが起き、アメリカでもピックアップトラックをベースとしたSUVの人気が高まりますが、当時のスバルにはベース車がありませんでした。
そこで1994年に北米市場向けに、既存の「レガシィ」をベースに内外装をSUVテイストとした初代「アウトバック」を発売。当初はセダンとステーションワゴンをラインナップしていました。
日本でも1995年にツーリングワゴンをベースに「レガシィ グランドワゴン」の名で登場。
ボディはツーリングワゴンに準じていますが最低地上高が200mmまで上げられ、力強さが感じられる意匠の専用前後バンパー、サイドプロテクターを装備し、ボディ下部をグレーに塗装した2トーンカラーとすることで、SUVらしさを表現しています。
エンジンは自然吸気の2.5リッター水平対向4気筒エンジンのみ(北米仕様は2.2リッターもあり)で、トランスミッションは5速MTと4速ATを設定し、駆動方式はフルタイム4WDとされ、リアLSDとオールシーズンタイヤが標準装備されるなど、悪路での走破性を向上。
アウトバックはアメリカで大ヒットし、日本でも新ジャンルのステーションワゴンとしてヒットしました。
その後、国内モデルは車名が「レガシィ ランカスター」となり、2003年には「レガシィ アウトバック」に変わって、現行モデルは5代目で北米では2019年に6代目が登場しています。
既存のステーションワゴンをベースにクロスオーバーSUVを作り上げたスバルの手法は、他メーカーにも大きな影響を与え、同様のモデルは欧州メーカーを中心に定番化しました。
●三菱「デリカ スターワゴン4WD」
かつてミニバンが誕生する以前は、多人数乗車のクルマというとワンボックスバンをベースに改良したワゴンが主流でした。
三菱も同様に1979年にワンボックスバンの「デリカ」をベースにしたワゴンの「デリカ スターワゴン」を発売。そして、1982年に画期的な4WDモデルが追加されました。
駆動方式は手動でトランスファーギヤを切り替えるパートタイム4WDで、シャシは本格的なクロカン車と同様に、シンプルな構造で耐久性や強度が高いラダーフレームを採用。
足まわりはフロントにトーションバースプリングのダブルウィッシュボーン、リアがリーフスプリングのリジッドアクスルを搭載し、ストロークを長くとることで高い悪路走破性を実現しています。
外観では最低地上高が高められて大径のオフロードタイヤを装着し、フロントにはガードバーを装備するなど、見た目からも本格的な4WD車だということがうかがえます。
デリカ スターワゴン4WDが人気となると、他メーカーも追従して4WDのワンボックスワゴンを発売しましたが、デリカほどのブランドイメージを確立できずに消えていきました。
その後も代を重ねて、より実用的かつ洗練されたミニバンに進化した「デリカ スペースギア」となり、現行モデルの「デリカ D:5」にもコンセプトが受け継がれ、唯一無二のクロカン・ミニバンとして人気をキープしています。
●スズキ「ワゴンR」
現在大ヒット中のトールワゴン系/ハイトワゴン系の軽自動車が登場する以前は、背の高い軽ワゴンというとワンボックスバンをベースにしたものが主流でした。
当時の軽ワゴンもリアドアにスライドドアを採用し、室内も広く使い勝手は良かったものの、商用車のイメージから脱却できずにいました。
そんななか、1993年にスズキ初代「ワゴンR」が発売されると、トールワゴンという軽自動車の新たなジャンルを確立。
スタイルはミニバンをコンパクトにしたイメージで、短いボンネットとボクシーなフォルムを採用し、左側が2ドア、右側が1ドアと左右非対称のレイアウトが初代ワゴンRならではの特徴です。
エンジンは、デビュー当初は660ccの直列3気筒自然吸気のみでしたが、1995年のマイナーチェンジでターボエンジンを追加して余裕ある走りを実現。
それまで軽自動車というと女性ユーザーをターゲットとしたモデルが多かったなか、初代ワゴンRは男女問わず人気となり、他メーカーも同様なモデルを発売して追従。
その後、ワゴンRは進化を続けつつもコンセプトは初代から変わらず、現在に至ります。
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