海外向け車なぜトヨタは成功? 海外人気は同等もホンダ車は国内導入で販売不振に陥る訳
トヨタとホンダで異なる“クルマの作り方”
トヨタとホンダの決定的な違いは何なのだろうか。自動車業界的に見ると非常に簡単だったりします。
トヨタの場合、RAV4でもヤリスでもカローラでも、開発責任者は世界中の市場を考えて開発する。
そして最終的な価格決定に至るまで、開発責任者に大きな権限が与えられます。価格もクルマの性能のひとつだと考えているワケ。

ホンダはどうか。CR-Vの開発担当者が世界中の市場を考えているところまで同じ。けれど、濃淡があります。
ホンダというメーカーは、研究所が強いと思われているようだけれど、最近はまったく違う。アメリカホンダから強いプレッシャーを掛けられると、イヤといえないのだった。逆に日本市場からのリクエストは、販売台数を考えたら通りにくいです。
RAV4を見ると、日本市場とアメリカ市場でニーズの違う部分は上手に作り分けている。
日本市場向けを作る際のコストアップ要因になるケースがあっても、RAV4全体の開発コストに含めるため、アメリカ仕様より高い販売価格にするようなことをしない。
アメリカ仕様より日本仕様のほうが高かったら、日本のお客さんにとって失礼という意識も強いです。
ホンダは八郷さんが社長になってから「日本向けに作った部分は日本で負担しろ」という流れが出来た。
アメリカ側からすれば「日本で売る分のコストは日本で負担しろ。アメリカで売るCR-Vのコストに上乗せすることは許さない」ということ。
結果的に日本仕様のCR-Vを見ると商品力が落ちるうえ、アメリカより高いというワケがわからない状態になる。
CR-Vは骨太で良いクルマながら、各部の仕上げは「アメリカン」で安っぽい。ナビだってイマドキにしては小さいのに、アメリカより60万円も高い値付けになってしまった。
アメリカじゃRAV4と同じ価格のクルマなのに、日本だと圧倒的に高い。売れなくて当然でしょう。海外向けに開発したホンダ車はすべてこの流れです。
業界の人なら売れないのは誰にだってわかること。なぜホンダがそんなことをやっているのか不思議でならないです。
ホンダは三部新社長になり、大きな方針転換をすると期待したい。
Writer: 国沢光宏
Yahooで検索すると最初に出てくる自動車評論家。新車レポートから上手な維持管理の方法まで、自動車関連を全てカバー。ベストカー、カートップ、エンジンなど自動車雑誌への寄稿や、ネットメディアを中心に活動をしている。2010年タイ国ラリー選手権シリーズチャンピオン。





































