覆面パトカーでおなじみ!? スズキの高級車「キザシ」はなぜ誕生したのか?
サーキットでチューニングしたキザシの走行性能とは?
実際に発売されたキザシは、プラットフォームは横置きFFとレイアウトはコンパクトモデルたちと共通ですが、同車のために新規で開発された専用品、サスペンションはフロント:ストラット、リア:マルチリンクも同様です。
企画時はFRも検討されたそうですが、当時今後の水平展開(当時エスクードより上級のSUV)も視野に入っていたようで、最終的にはFFに落ち着いたといいます。
ただ、スイフト/SX4などの開発による知見やノウハウがあったため、開発陣は「FF横置きベースでもイケる」と自信があったそうです。
パワートトレインはエスクード(3代目)に採用されていた2.4リッター直列4気筒自然吸気エンジン(J24B)ですが、実は共通なのはエンジン型式だけで中身はほぼ新設計。188馬力/23.5kgmのパフォーマンスを誇ります。
トランスミッションはCVTのみ(海外向けには6速MTも用意)、駆動方式はFFと電子制御4WD(i-AWD)が選択可能となっていました。
ちなみに当時のメディア向け資料を見るとニュルブルクリンク北コース(以下、ニュル)でのテストシーンも掲載されていますが、ここにも面白いエピソードが残っています。
当時、スズキではニュルでの開発テストがなかなか認められず、そこで開発陣は「PR用の撮影目的」で渡欧。ただし、撮影はあっという間に終わらせて、残りの時間をすべてテスト用に使ったそうです。
エンジニアの一人は「評価ドライバーの声を元にチューニングを煮詰めました。ニュルでのテストは開発のなかでも大きな手ごたえがありました」と語っています。
開発時のベンチマークは、特定のモデルではなく、さまざまなモデルを広く見ていたといいますが、ハンドリングに関してはFFレイアウトを採用しながらもBMWに匹敵する走りに定評があったフォード「モンデオ」だったそうです。
このようにして生まれたキザシは、実際に乗ると「大柄なミドルセダンなどにスイフトスポーツのように曲がる」とハンドリングの評価は非常に高かったですが、その一方でパワートレインはパワー不足で事務的なフィーリング、フットワークは硬めの乗り心地、さらには内外装の細部の質感や精度など、煮詰めや改善が必要な部分があったのも事実です。
その後、北米向けには内外装やフットワークに手が入った「キザシ・スポーツ」が追加設定されましたが、日本向けは一度も手が入ることなく2015年に生産終了。日本での累計登録台数は3379台ですが、そのなかの約900台が覆面パトカーとして使われました。
ちなみに市販モデルと覆面パトカーの違いは、外装はフォグランプの有無、内装は布シート(市販モデルは本革)とウレタンのステアリング(市販モデルの本革)と細部が異なっています。
※ ※ ※
現在、スズキは得意とする小さなモデルに特化しているため、今後キザシのようなモデルが登場する可能性は極めて少ないでしょう。
ビジネス的に見てしまうと「黒歴史な一台」になってしまいますが、「スズキの挑戦」という意味では、非常に意義のあるモデルだったと思っています。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
キザシに今の1400ターボ載せれてたら良い車だったんじゃないかなぁ
ずっとおなじこと思ってました~
スズキ・キザシは自分が欲しいと思ったバランスの良いスタイルと良いサイズの車です。
内装はヨーロッパテイストでシンプルでありながらキッチリ作り込まれ、そこに「安っぽいスズキ」のイメージは無かった。
ただし、2.3l(だったか?)の中途半端に大きな排気量と、想像以上な車両価格にあの無駄に大きな「S」マークがネックだった。
海外にあったファブリック仕様 180万位~があればまた違った結果だったのでは。
あと売れ筋とはいえ、白黒シルバー以外も出した方が良かったのでは。注文色でも良いので
カタログの見栄えが。
キザシへの判断は留保するが、自ら「数少ない一人」と称する人物の評価に客観性があるか疑問に感じる。
スズキにとっても、こうした歯の浮くような文章は迷惑ではないか?
ガチクロカンのシエラオーナーなので、キザシの購入は眼中になかったが、セコンドカーとしてなら十分に楽しめる車だった。
スズキが徹底した質素倹約がどーたら鬱憤を晴らすとか言いますが
それはあくまでも車メーカーとしてでしょ?
バイクメーカーとしてはそんなイメージは全くありませんが