なぜ奈良ではシカは神聖な生き物? 年間100件も交通事故に遭遇! 独自の交通ルールとは

奈良でシカが大切にされている理由って?

 奈良公園は1880年に創設されました。春日大社・興福寺・東大寺などの境内敷地に作られた県立の都市公園で、年間1400万人以上が訪れる観光都市・奈良の観光の目玉のひとつとして東大寺の大仏と共に、奈良のシンボルとなっています。

 また、奈良公園に生息しているシカは、1957年に国の天然記念物に指定されました。

 春日大社の社伝「古社記」によると、767年に称徳天皇の頃に平城京鎮護のため、鹿島神宮より神様が白いシカに乗って御蓋山にやって来られたとされており、シカは「神の使い」として保護されるようになりました。

 神の使いとして崇められているシカは、人間の命より尊いものとされており、家の前でシカが死んでいると、その家の主人は罪人とされていました。

 罪のない人間を陥れることに利用されることもあったといわれていて、夜中にシカの死体が家の前に運ばれていないか、早朝に起きては玄関を開けて確認するという習慣があったとされています。

地元では神聖な動物とされるシカ。その安全を守るためにはどのような対策が取られているのでしょうか。
地元では神聖な動物とされるシカ。その安全を守るためにはどのような対策が取られているのでしょうか。

 シカは昔から大切にされてきた存在が故に、交通事故ではひき逃げになってしまうケースが多く、奈良公園周辺で交通事故に巻き込まれた件数のうち、ドライバーから通報を受けるのは半数に留まっているとされています。

 また、負傷したシカが現場から去り、その後に山中で死んでしまったケースは事故とみなしていないため、実際の事故数はかなり多いといえるでしょう。

 奈良の鹿愛護会の担当者は、次のように話します。

「交通事故を起こしてしまった場合や、傷ついているシカを発見した場合には、奈良の鹿愛護会か、奈良警察署へすぐに通報をするようにしてください。

 迅速な通報により、大切なシカの命が助かる可能性がとても高くなり、交通事故の場所や時間を調べ、対策にも役立てています。

 また、歴史的背景から、多くのドライバーが『天然記念物をはねたら罰せられる』と誤解し、逃げてしまうとことがありますが、事故の当事者となってしまっても、故意でない限り罪に問われることはありませんので、すぐに情報を寄せて欲しいです」

※  ※  ※

 奈良に観光へ行くと、とくに奈良公園周辺では、シカが急に飛び出してくることがあります。

「奈良のシカ」の保護のためにも、クルマで走行するときは、昼夜を問わず制限速度を落として慎重に運転することを心がけましょう。

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Writer: Peacock Blue K.K.

東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。

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