なぜ中国車は日本登録が難しい? 紅旗「H9」ナンバー取得間近で見えた複雑な基準とは

中国生産の車両が間もなく日本でナンバープレートを取得し、正式に展開するという発表がおこなわれます。これまで中国生産された車両は日本市場で登録(ナンバー取得)するのが難しいといわれていました。その理由とは、どのようなものなのでしょうか。

日本上陸後、どんな検査を受ける?

 60年以上にわたって中国の要人に愛されてきた高級車「紅旗」の最上級車種「紅旗H9」が日本に上陸し、実車の撮影や取材をおこなったことはすでに報道されています。
 
 これまで中国生産された車両は日本市場で登録(ナンバー取得)するのが難しいといわれており、「排ガス規制はキチンとクリアできているのか」「今まで純中国車(乗用車)はナンバーついたことない。ホントに登録できるのか?」などの声も出ていました。
 
 では、今回の紅旗・H9はどのようにして日本のナンバーを取得したのでしょうか。

日本に上陸した「紅旗・H9」。なぜ中国生産車は日本でのナンバー取得が難しいといわれるのでしょうか?(画像:加藤博人)
日本に上陸した「紅旗・H9」。なぜ中国生産車は日本でのナンバー取得が難しいといわれるのでしょうか?(画像:加藤博人)

 自動車運搬船による海上輸送や、貨物機による航空輸送などの輸送手段に関わらず、日本国内に入って最初に直面するのが通関手続きです。

 輸入申告書やインボイスなどを用意し、輸入するクルマが保管されている港・空港を管轄する税関で通関手続きをおこない、そこで「自動車通関証明書」が発行されます。

 通関証明書は日本国内での正式登録時は当然ですが、整備や各種検査で移動する際に必要な「自動車運行臨時許可(通称:臨番、仮ナンバー)」を各市区町村の役所で交付してもらう際にも必要です。

 通関証明書から仮ナンバー取得のあとは、自動車排出ガス試験(通称 ガス検)と加速走行騒音試験のふたつの試験を受けることになります。

 自動車排出ガス試験は、シャシダイナモメータに直結したローラ上で一般の道路走行状態と同じ負荷を加えながら走行し、その間に排出されるガスの量を計測します。

 加速走行騒音試験は定員分のウェイトを載せ、時速50キロで進入後、フルスロットルで走行した状態の騒音を計測する試験となります。

 両試験ともに日本国内の基準に適合するためには不可欠な試験ですが、「58協定」(1958年に締結された国連欧州経済委員会(ECE)の多国間協定『車両等の型式認定相互承認協定』のこと。日本は1998年に加盟)の締結国で製造される自動車や、製造者による技術適合証明などの書類があればこれらの試験は免除となる場合もあります。

 中国はアメリカ同様、58協定の締約国ではないため、紅旗・H9はこれらの試験をまず受ける必要がありました。

 ガス検と騒音試験は主に国が指定する主に3つの専門機関で試験を受けます。

 紅旗・H9はいずれも一発合格となりました。同時に受けた別の外国製中古車は複数回不合格になっていたそうです。

 紅旗・H9は、中国が2020年から適用する独自の排ガス基準「軽型汽車汚染物排放限値及測量方法(中国第六階段)」(日本語訳 小型自動車車排出ガス基準及び計測方法(中国第六段階)、通称 「国VI」(くにろく)をクリアしているため、ガス検などの試験も余裕で合格したとのことです。

 なお、中国独自の排ガス規格「国VI」は基準の異なる「国VI a」と「国VI b」が存在し、新車に対して前者は2020年7月までに、後者は2023年7月までに満たすことが義務付けられています。

 とくに「国VI a」は欧州連合(EU)が制定する最新基準の「EURO 6」よりも厳しい基準です。

 紅旗H9は、その厳しい「国VI a」に適合しているのですから、日本での排ガス試験も特段難しいことではなかったのでしょう。

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