なぜ中国車は日本登録が難しい? 紅旗「H9」ナンバー取得間近で見えた複雑な基準とは
中国第一汽車の全面バックアップで技術適合も問題なし!
ところで、なぜ中国車は日本で登録をすることが難しいといわれてきたのでしょうか。
実は、純中国車であっても、すでに日本で登録されているクルマがあります。
バスやトラックなど架装部分の仕様が多様に存在するクルマの場合、乗用車に比べて合理的で簡素化された検査システムを用いての審査となるため乗用車よりはかなりハードルが低くなります。
その代表的なものが比亜迪(BYD)の日本法人となるビーワイディージャパン株式会社によって輸入されている各種のBYD製電気バスです。
2015年に京都市内の路線バスに採用されたのを始まりとして、全国各地の路線バスや上野動物園のシャトルバス、羽田空港での職員用シャトルバスなどにも採用されてきました。
BYDジャパンでは日本のニーズに合わせて開発された新型電気バス「K8」を、2025年までの5年間で2000台販売することを計画しています。
一方、乗用車の場合は現地ディーラーからクルマを買って輸入する並行輸入車において、日本での登録は非常に困難であるとされてきました。
前述したように、欧州各国や韓国、日本が締約する58協定の締約国で生産されたクルマであれば、各国の保安基準に適合する安全性を備えているとみなされるため(認証の相互承認)、とくに苦労もなく日本で登録することが可能ですが紅旗・H9は58協定に入っていない中国で生産されています。
日本国内の公道を走るための登録には製造者(紅旗の場合は第一汽車)から直接、安全を証明できる書類が必要となります。
今まで中国で生産されたクルマが研究目的でナンバーを取得しない「輸入」は可能でしたが、「登録」は非常に難しく、莫大な費用が掛かるといわれてきたのもこの制度が大きく関わっています。
今回の紅旗・H9の日本進出は紅旗を展開する第一汽車主導でおこなわれています。
第一汽車とは、中華人民共和国で最初に設立された国営自動車メーカーで、紅旗ブランドは中華人民共和国の歴史と深く関わっている伝統のブランドです。
中国建国の父、毛沢東主導の第一次五カ年計画によって1953年に設立され、1958年に毛沢東が軍事パレードを閲兵するための専用車として最初の紅旗を完成させました。
そのため、中国の国営メーカーとなる第一汽車主導でおこなわれているため、日本で登録するために必須となるこれらの書類も問題なく入手可能となるため、保安基準適合のためのプロセスもスムーズにおこなわれているのです。
紅旗・H9が「道路運送車両法」が定める「保安基準」に適合するためには、前述の承認に必要な各種書類はもちろんですが、細かい部分で突起物や灯火類などが「日本の保安基準に適合しているか?」などの確認、調整をおこなうことになります。このような作業を「保安基準適合のための改善作業」といいます。
なお、輸入販売元によれば、中国での保安基準はほとんど日本と一緒となるため、日本の保安基準にクリアするための改善作業もそれほど多くないとのことです。フロントグリル部の赤く光るエンブレムも解錠時のみ点灯する仕様なので、日本の保安基準には引っかからない仕様となっています。
間もなく、第一汽車および、日本の輸入元から紅旗・H9の販売に関する正式な発表が出される予定です。
日本へ輸入されるモデルやグレードの詳細や価格はそのタイミングで公表されます。