ホンダ新型「ヴェゼル」のご先祖はとってもユニーク? ホンダの珍SUV3選

2021年2月18日に、ホンダはコンパクトSUVの新型「ヴェゼル」を公開しました。全面刷新されたヴェゼルは、再び国内のSUV市場に旋風を巻き起こしそうですが、ホンダの歴代SUVのなかには異色のモデルも存在。そこで、ヴェゼルのご先祖にあたるユニークなSUVを、3車種ピックアップして紹介します。

新型「ヴェゼル」発表でご先祖を振り返る

 ホンダは2021年2月18日に、新型「ヴェゼル」を公開しました。初代が登場してから8年ぶりのフルモデルチェンジとなった新型ヴェゼルは、内外装のデザインからパワートレインまで、すべてを刷新。

 発売は2021年4月を予定しており、強豪ひしめくコンパクトSUV市場において、かつてヒットを記録したヴェゼルが再び旋風を巻き起こすと期待されています。

セールス的には微妙だったものの個性豊かなホンダの珍SUVたち
セールス的には微妙だったものの個性豊かなホンダの珍SUVたち

 ホンダのSUVの歴史を振り返ると、1995年に発売され大ヒットを記録した初代「CR-V」にたどり着きますが、じつはCR-Vの登場以前もSUVを販売していました。

 さらに、ホンダの歴代SUVのなかには、かなりユニークなモデルも存在。そこで、ヴェゼルのご先祖にあたる個性的なSUVを、3車種ピックアップして紹介します。

●ホンダ「クロスロード」

プレミアムなRVとして販売されたものの、問題山積だった「クロスロード」
プレミアムなRVとして販売されたものの、問題山積だった「クロスロード」

 1990年代初頭に、日本の自動車市場では「RVブーム」が起こりました。RV(レクリエーショナル・ビークル)はレジャー用途に適したモデルを指し、ステーションワゴン、ミニバン、そしてクロスカントリー4WD車などが含まれます。

 なかでも、三菱「パジェロ」や日産「テラノ」などの本格的なクロカン車が爆発的にヒットし、市場を席巻しました。

 そんなRVブームの頃に、ホンダは自社でRVを生産していなかったため、いすゞからOEM供給された「ジャズ」と「ホライゾン」を販売。

 さらにホンダは1980年から英国のローバーグループと提携関係にあり、1993年からミドルクラスSUVのランドローバー「ディスカバリー」のOEM供給を受け、初代「クロスロード」として発売しました。

 クロスロードの外観はほぼディスカバリーのままで、エンブレムの違いにとどまっており、直線基調のボディはルーフ後半を一段高くしたステップド・ルーフと、リア・クォータールーフウインドウを採用。

 バリエーションは用途に合わせて3ドア(2列シート定員5名)、5ドア(3列シート定員7名)のふたつが設定されました。

 エンジンは最高出力180馬力のローバー製3.9リッターV型8気筒OHVエンジンを搭載し、トランスミッションは4速ATのみで、駆動方式はセンターデフロックが可能なフルタイム4WDです。

 RV人気が高まるなか、国産車とほとんど競合しないプレミアムクロカン車として期待されたクロスロードでしたが、価格は389万円(消費税抜)からと高額で、ホンダブランドでは販売は低迷。

 そこで1996年に5ドアの2列シート車を新たに設定し、装備を見直した結果、価格は299万円(消費税抜)と大幅にダウンしました。

 しかし、それでも販売は好調とはいえず、さらにクロスロードはボディやエンジンにインチサイズのボルト、ナットが使われていたため、整備ができるディーラーが限られるという問題もありました。

 結果、ホンダはローバーグループとの提携を解消して、1998年にはクロスロードの販売を終えます。

 その後、2007年に自社で開発したSUVとして2代目クロスロードが登場。手頃なサイズの3列シートSUVでしたが人気とはならず、こちらも短命に終わりました。

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●ホンダ「MDX」

アメリカナイズされたボディは、さすがに日本では巨大すぎた「MDX」
アメリカナイズされたボディは、さすがに日本では巨大すぎた「MDX」

 ホンダは初代CR-Vが日本のみならず海外でもヒットしたことから、2001年に北米のニーズに合った3列シートの大型SUV、アキュラ初代「MDX」を発売しました。

 カナダ工場で生産された北米仕様の「オデッセイ(日本名ラグレイト)」のシャシをベースに開発され、日本では2003年に輸入車として販売を開始。

 外観は動物のサイをモチーフにデザインされた力強いフォルムで、タフなSUVをイメージさせました。

 MDXは北米ではミドルサイズにカテゴライズされていましたが、ボディサイズは全長4790mm×全幅1955mm×全高1820mmと、かなりの大柄です。

 搭載されたエンジンは260馬力を発揮する3.5リッターV型6気筒のみで、トランスミッションは5速ATが組み合わされ、駆動方式はフルタイム式とパートタイム式の両方の長所を併せ持つ、ホンダ独自の4WDシステム「VTM-4」を採用しています。

 MDXはアメリカナイズされた内外装のデザインと、クルージングに最適な余裕ある走りが特徴でしたが、さすがにボディが大きすぎて日本の道路事情には合わず、とくに駐車場や市街地ではかなり気を使うサイズだったことから販売は低迷。

 また、車重が2030kgとヘビー級でカタログ燃費が7.8km/L(10・15モード)と、あらゆる数字が日本での使用に対して厳しい状況でした。

 MDXは日本で受け入れられませんでしたが、北米ではプレミアムSUVとして一定の人気があり、4代目が2020年12月に発売されました。

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