なぜCVTは日本で進化が続く? 「ガラパゴス化」するも採用数が減少しない訳

メーカー独自に進化を続けるCVT

 実用化が進んだCVTですが、メーカー毎にそれぞれが独自の技術を磨き続けています。

 スバルでは「リニアトロニック」を独自開発しており、その特徴は他社のCVTがプーリーと金属ベルトを組み合わせているのと異なり、プーリーとチェーンを組み合わせています。

 チェーンとなることで、CVT機構全体のコンパクト化を果たし、室内空間の拡充にも寄与しています。また、従来の金属ベルト式よりも耐久性や加速レスポンスが向上しています。

 一方、トヨタでは「ダイレクトシフトCVT」を独自に開発。かねてよりトヨタはグループ企業であるアイシンAWでトランスミッションの研究を続けてきました。

 名前の由来になっているダイレクト感が特徴となり、他社製のデュアルクラッチトランスミッション同等以上の変速性能を実現。CVTの欠点であったワンテンポ遅れて加速する問題を克服しています。

 日産では「エクストロニックCVT」という名称で展開。高い燃費性能と伸びやかな加速感を研ぎ澄まし従来のCVTから約10%も燃費向上を達成しました。

 一方で、今後世界的にEVへのシフトが進むと、トランスミッションの必要がないため、長い目で見ればCVTを含めてトランスミッション自体がなくなっていく技術であるともいえます。

1987年に登場したスバル「ジャスティ」。「ECVT」いう名称のCVTを搭載
1987年に登場したスバル「ジャスティ」。「ECVT」いう名称のCVTを搭載

 前述の業界関係者は、今後のCVTの展望について、次のように話しています。

「各社の方針は明らかにされていませんが、世界的にゼロ・エミッション車を増やしていくということは確実なことから、いずれはトランスミッションが不要のものになる可能性もあります。

 また、これまではモータースポーツなどにおいて一部の興行や娯楽として内燃機関が残る=トランスミッションも残ると考えられていましたが、F1などでも電動化が進んでいるため、事業としてのトランスミッション市場は衰退していくかもしれません」

※ ※ ※

 2030年代半ばには日本でも内燃機関(ガソリン/ディーゼル)の新車販売が禁止される流れになっています。

 そうすると、トランスミッションを始めとする内燃機関に関わるパーツの市場自体は後10年ほどで急激に縮小すると考えられます。

 今後、CVTを始めとするトランスミッションがどのような変化をしていくのか、注視せずにはいられません。

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Writer: Peacock Blue K.K.

東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。

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