最高速322キロ!! BMWのV8を積んだアスカリ「エコス」は本気のスーパーカーだった

英国では大小さまざまなスポーツカーメーカーが興っては滅んでいった。20世紀末にBMWのエンジンを搭載して、鳴り物入りで登場したアスカリもそうしたメーカーのひとつだ。そのアスカリが17台のみ生産した「エコス」とは、どのようなスポーツカーであったのだろうか。

英国はスポーツカーメーカー天国

 スポーツカーメーカーとして成功を収めるという夢を追って、もっとも多くの自動車メーカーが誕生した国は、英国といっていいだろう。もちろんそのプロジェクトには大小があり、かつてはバックヤード・ビルダーと呼ばれた、自宅の庭やガレージで組み立てが可能なスポーツカーから、本格的な生産施設を必要とするモデルまで、英国で生まれ、そして消え去ったメーカーは、数えきれないほどである。

●1997 アスカリ「エコス」

ジャガー「XJ220」やマクラーレン「F1」などの英国製スポーツカーと、同じ雰囲気の外観デザインをもったアスカリ「エコス」BMW製のV8エンジンを搭載し、最高速度220mph(約322km/h)だったアスカリ「エコス」(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
ジャガー「XJ220」やマクラーレン「F1」などの英国製スポーツカーと、同じ雰囲気の外観デザインをもったアスカリ「エコス」BMW製のV8エンジンを搭載し、最高速度220mph(約322km/h)だったアスカリ「エコス」(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

 1995年に誕生したアスカリは、2010年にスーパーカーの生産を中止するまで、わずか15年間のみ活動したメーカーだ。

 アスカリという社名は、第二次世界大戦前後に活躍したレーシングドライバー、アルベルト・アスカリに由来するものである。1952年、1953年のF1GPの連覇は、アルベルト・アスカリのもっとも栄光に満ちたキャリアといえる。

 このアスカリというブランドの存在に着目したのは、オランダ人のレーシングドライバー、クラース・ズワートだった。ズワートはヨーロッパの各国で開催されるモーターショーに出品されていた、英国ノーブル社が製作したミッドシップカー「FGT」に注目。それをレーシングカーに改造し、さらにはアスカリ社を正式に設立する計画まで推し進めたのだ。これはアスカリにとって、これ以上の好条件はないスタートといえた。

 ノーブル社を率いるリー・ノーブルの名前は、すでにスポーツカーの世界では有名な存在だった。自らの名を掲げたノーブル・オートモーティブ社からは、魅力的なスポーツカーがアスカリと前後していたし、それ以前にもアスカリのような他社のために、さまざまな技術を提供していた。

 アスカリが手がけるFGTに、スポーツカー・ファンからの注目が集まったのも当然の話だったのだ。

【画像】20世紀末スーパーカーアスカリ「エコス」とは?(28枚)

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