最高速322キロ!! BMWのV8を積んだアスカリ「エコス」は本気のスーパーカーだった
英国では大小さまざまなスポーツカーメーカーが興っては滅んでいった。20世紀末にBMWのエンジンを搭載して、鳴り物入りで登場したアスカリもそうしたメーカーのひとつだ。そのアスカリが17台のみ生産した「エコス」とは、どのようなスポーツカーであったのだろうか。
英国はスポーツカーメーカー天国
スポーツカーメーカーとして成功を収めるという夢を追って、もっとも多くの自動車メーカーが誕生した国は、英国といっていいだろう。もちろんそのプロジェクトには大小があり、かつてはバックヤード・ビルダーと呼ばれた、自宅の庭やガレージで組み立てが可能なスポーツカーから、本格的な生産施設を必要とするモデルまで、英国で生まれ、そして消え去ったメーカーは、数えきれないほどである。
●1997 アスカリ「エコス」
1995年に誕生したアスカリは、2010年にスーパーカーの生産を中止するまで、わずか15年間のみ活動したメーカーだ。
アスカリという社名は、第二次世界大戦前後に活躍したレーシングドライバー、アルベルト・アスカリに由来するものである。1952年、1953年のF1GPの連覇は、アルベルト・アスカリのもっとも栄光に満ちたキャリアといえる。
このアスカリというブランドの存在に着目したのは、オランダ人のレーシングドライバー、クラース・ズワートだった。ズワートはヨーロッパの各国で開催されるモーターショーに出品されていた、英国ノーブル社が製作したミッドシップカー「FGT」に注目。それをレーシングカーに改造し、さらにはアスカリ社を正式に設立する計画まで推し進めたのだ。これはアスカリにとって、これ以上の好条件はないスタートといえた。
ノーブル社を率いるリー・ノーブルの名前は、すでにスポーツカーの世界では有名な存在だった。自らの名を掲げたノーブル・オートモーティブ社からは、魅力的なスポーツカーがアスカリと前後していたし、それ以前にもアスカリのような他社のために、さまざまな技術を提供していた。
アスカリが手がけるFGTに、スポーツカー・ファンからの注目が集まったのも当然の話だったのだ。
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