補助金や税制面で優遇も日本はなぜ「次世代車」人気ない? EVや燃料電池車が普及しない理由とは

菅総理大臣は2021年1月の通常国会・施政方針演説で「2035年までに新車販売で電動車100%を実現する」と表明。前後して、ハイブリッド車だけでなくEV、PHEV、FCVといった次世代車が国内外で多数発売されています。しかし、こうした次世代車は補助金や税制面で優遇を受けているにも関わらず、国内新車市場ではまだシェアが低いままです。いったいなぜなのでしょうか。

普及が進まない理由はやはり価格面か?

 近年、環境に配慮したさまざまな次世代車が登場していますが、こうした次世代車は補助金や税制面で大きな優遇を受けています。しかし直近の販売状況を見ると、その市場規模はまだまだ小さいことが分かります。いったいなぜなのでしょうか。

ホンダ「ホンダe」
ホンダ「ホンダe」

 直近で登場した、あるいはまもなく登場する次世代車の例を挙げると、ホンダ初の量産型EV「ホンダe」や、日産が2020年に発表し2021年発売予定としている「アリア」があります。

 またトヨタは2代目「MIRAI」(FCV)と「RAV4 PHV」(PHEV)、レクサス初EVの「UX300e」。三菱は「エクリプスクロスPHEV」。年が明けてマツダが「MX-30 EVモデル」など、このところ日本車では本格的な電動車が目白押しです。

 輸入車でも、テスラを筆頭に、ジャーマンスリー(メルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲングループ)、ボルボ、そしてグループPSAとFCA(ともに現ステランティス)などから、EVやPHEVが続々と日本上陸を果たしています。

 こうして次世代車のモデル数は増加傾向なのですが、直近2021年1月の販売実績を見てみると、国内乗用車販売総数(10万9166台)のうち、パワートレイン別のシェアは、ガソリン車の52.4%、ハイブリッド車の40.2%、ディーゼル車の6%に対して、PHEVは0.7%、EVは0.5%、そしてFCVは0.2%(日本自動車販売協力連合会調べ)。ハイブリッド車よりさらに環境に優しいPHEV、EV、FCVといった本格的な電動車(次世代車)は、新車市場においてはまだまだ少数派なのです。

 なぜ、本格的な電動車の普及スピードが遅いのでしょうか?

 EVについては、以前から3つの課題が指摘されてきました。

 それは、【1】電池価格が高く車両全体の価格が高いこと、【2】充電インフラが少ないこと、そして【3】満充電での航続距離が短いこと、という3点です。

 車両価格については、構成部品のなかでコストが高い電池について、中国や欧州で事実上のCO2総量規制によって生産台数が増えていることで、電池の量産効果、また電池内部構造や製造工程での工夫などにより、EV車両価格が下がる方向が少しづつ見えてきたように思えます。

 国や地方自治体からの購入補助金や税制優遇なども継続されています。

 次に充電インフラについては、直流急速充電器のCHAdeMOが7700か所、公の場での100V/200V交流充電器が1万4004か所、そしてテスラが191か所と全国各地で増えてきました(2021年2月4日時点、充電情報サイトGoGoEVより)。

 そして航続距離は、テスラのように搭載電池容量が大きいモデルではガソリン車と同等か、それ以上を確保しているモデルもあります。

 また、PHEV車の充電は、自宅や会社でおこなうことが多いというメーカー側の想定ですし、航続距離はガソリン車を凌ぐほどです。ネックとなるのは、ガソリン車やハイブリッド車に対する価格差があることでしょう。

 FCVについては、航続距離は長く、水素の充填時間はガソリン車並みで短いのですが、水素ステーションの数がまだ少なく、価格も2代目MIRAIでかなり下がった印象はありますがまだまだ高級車の域を出ません。

 今後のトヨタを中心とした多モデル化による市場拡大を期待したいところです。

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