儲かるか微妙なのによくぞ作った! おもしろすぎる商用車5選
私たちの生活を支えるクルマのひとつが商用車です。バンやトラックが存在しなければ、物流や土木、農業が成り立ちません。そんな商用車に求められるのは、頑丈でメンテナンスが楽で、荷物がたくさん積めるといった性能です。しかし、かつては見た目やメカニズムがユニークな商用車が存在。そこで、おもしろすぎる商用車を5車種ピックアップして紹介します。
非常にユニークな働くクルマを振り返る
バンやトラックといった商用車は、荷物を運ぶことに特化したクルマです。もし商用車が存在しなければ物流や土木、農業といった産業がストップして、私たちの生活は成り立たないでしょう。
一般的に商用車には、頑丈で長持ちするつくりで、荷物がたくさん積め、メンテナンス作業が楽におこなえることなどが要求され、デザインやスピード、乗り心地といった要素は重要視されません。
しかし、かつては見た目やメカニズムなどが、非常にユニークな商用車が存在。そこで、おもしろすぎる商用車を5車種ピックアップして紹介します。
●ダイハツ「フェローバギィ」
国内でも屈指の老舗自動車メーカーであるダイハツは、乗用車を製造するよりも前にオート三輪から歴史が始まり、高度成長期には「ミゼット」が大ヒットするなど、商用車が主力商品だった時代があります。
そして、1966年に登場した初代「フェロー」は、乗用車の2ドアセダンと商用車の3ドアバン、ピックアップトラックをラインナップし、このトラックをベースに、非常にユニークなクルマがつくられました。
1968年の第5回東京モーターショーに出展された、軽自動車の「フェローバギィ」は、アメリカで流行していた「デューンバギー」をイメージさせりショーカーでした。
しかし、来場者から好評を博し、市販化のリクエストが多かったことから、ダイハツは市販化を決定。安全性に関わる部分の改良を加えたうえで、1970年に100台限定でフェローバギィを発売しました。
フェローバギィはフェロートラックのシャシをベースに、ドアも無いオープンのバスタブ型強化プラスチック製ボディを架装してつくられ、乗車定員2名、最大積載量150kgの軽トラックとして開発。
乗員を転倒から保護するロールバーや、グリルガードが装備されており、外観は本格的なバギーそのものです。
エンジンもフェロートラックと同じ、最高出力26馬力の360cc水冷2サイクル2気筒をフロントに搭載。駆動方式はリアタイヤを駆動するFRとなっています。
わずか440kgいうと軽量なボディで、不整地での走りも期待されましたが、10インチタイヤが装着されていたことから最低地上高が低く、本格的なオフロード車とはいえなかったようで、あくまでもレジャーカーだったようです。
●日産「エスカルゴ」
日産は1987年に、クラシカルな内外装の限定車「Be-1」を発売。一躍大人気となり、中古車が新車価格を上まわるプレミアム価格で販売されたほどです。
Be-1に続いて「パオ」「フィガロ」と同様なコンセプトの限定車を発売し、後にこの3台は「パイクカー」3兄弟と呼ばれました。
このパイクカー第2弾のパオと同時に、1989年に発売されたのが、ユニークなライトバンの「エスカルゴ」です。
エスカルゴの車名は「S-Cargo」と表記され、「Cargo=貨物」のスペイン語読み「カルゴ」と「S(エス)」を組み合わせてエスカルゴと読ませ、車名のとおり外観はカタツムリのようなフォルムです。
パイクカー3兄弟が初代「マーチ」をベースに、特装車製造を得意とする高田工業に生産が委託されたのに対し、エスカルゴは初代「パルサーバン」をベースに、日産の関連会社である日産車体が生産を担当しました。
エンジンは1.5リッター直列4気筒を搭載するFFで、トランスミッションは3速ATのみを設定。シフトレバーは当時とてしは斬新なインパネシフトを採用し、センターメーターや一本スポークのハンドルなど、内装も商用車とは思えない凝ったつくりでした。
ライトバンとして荷室は広くありませんでしたが、荷室高は1230mmと実用的につくられており、主に個人商店の荷物配達用やレジャー用に人気となります。
また、ボディは標準ルーフだけでなく、商用車としては異例の、開放感のあるキャンバストップも選べるなど、随所に遊び心が満載。まさにバブル景気の申し子のようなクルマでした。
●三菱「ミニキャブトラック4クローラー」
三菱の軽商用車「ミニキャブ」は、1966年から続く長い歴史を持つ1BOXバン、トラックです。現行モデルはスズキ「キャリー」がOEM供給されていますが、EVバンの「ミニキャブMiEV」のみ三菱が自社生産しています。
このミニキャブトラックに、1997年に追加ラインナップされたのが「ミニキャブトラック4クローラー」です。
ミニキャブトラック4クローラーは4WDのミニキャブトラックをベースにした特装車で、4輪のタイヤをクローラーに付け替えることが可能となっており、泥ねい地や砂地、深雪地帯など、過酷な路面状況での荷物の運搬に特化した商用車として開発。
車検証にはタイヤ装着時とクローラー装着時の2種類の諸元が記載され、特殊車両ではなく一般的な軽トラックとして登録できるため、普通免許で運転できました、
また、一般公道をタイヤとクローラーどちらでも法的に走行可能となっており、利便性の高さも考慮されていました。
当時の新車価格は182万6000円(消費税含まず)と、特装車の割には比較的安価に設定されていたといえます。
かつてはダイハツやホンダも同様のクローラー装着車を販売していましたが、今では社外品でクローラー単品が販売されており、スキー場などでクローラー車を見ることができます。
ちなみに、ミニキャブトラック4クローラーに装着されたクローラーユニットは、ひとつ約70kgあり、交換作業はかなりの重労働だったようです。
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