キャンプブームで飛躍? トヨタも本気のコト消費「くるまごと」ビジネスは大化けするか?
「くるまごと」の本質とは?
そのうえでクルマを用いたコト消費「くるまごと」をどうやって収益が上がる商品に仕立てるのか。
筆者(桃田健史)はこれまで、自動車メーカーをはじめとするさまざまな自動車関連業種や地方自治体の関係者と、「くるまごと」について議論してきました。
結論をいえば、こうした分野でマネタイズ(収益化)することはとても難しいと感じています。
そのうで、「くるまごと」について、筆者なりの考えを紹介します。
まず、クルマの使い方(意義)については大きく3つ、「移動」、「ファッション」、「空間」という分野があると思います。
順に見ていくと、「移動」には、定期的移動(通勤・通学)、半定期的移動(買い物、通院)、不定期移動(レジャー、帰省など)、そして緊急移動(救急救命、災害対応)があります。
こうした移動では、公共性が高まるほど、自動車メーカーとしての収益性は下がる傾向にあります。
地方自治体を対象とした、B2G(ビジネス・トゥ・ガバメント)という事業形態もありますが、事業の実施が確定するまでの時間と労力の負担が大きい割に、収益性はあまり高くない印象があります。
それよりも、自動車メーカーにとってもっとも有益なのは、金融商品を使った新車販売です。
次に「ファッション」です。
よく、人生のなかでもっとも大きな買い物は家などの不動産で、二番目はクルマ、という表現を聞きます。
ですが、クルマの経年による価値の目減りは極めて大きく、3年で新車価格の半分程度は当たり前です。不動産で購入後3年の価値半減では、まるでバブル崩壊のイメージです。
そうした状況をユーザーがよしとしているのは、クルマが移動手段であると同時に、自身の生活や趣味に関連したファッションだと割り切っているからだと思います。
こうした感覚の発展形として、経年しても付加価値が上がる場合がある、アンティークという分野で、昭和のクルマ・ネオクラシックなどを好む人がいるのではないでしょうか。
そして「空間」ですが、自宅の延長(家族団欒、ひとりの世界)に加えて、移動先でのベースキャンプという使い方があります。
以上見てきたなかで、キャンパーブームの原因を探してみますと、まずは「ベースキャンプ」が主体となります。ここに旅行だけではなく、「空間」の要素も入って「ワーケーション」や「リモートワーク」がつながってきます。
自動車メーカーやディーラーにとっては、ベースキャンプの場の提供、イベント開催、そして実用性がある用品販売などがマネタイズの基本となるでしょう。
その他、SUVやミニバンに、さほど利用機会がなくてもルーフキャリアを装着するといったファッション性や、緊急移動における避難場所としてのシェルター的な考え方も加わります。
このような各種の使い方を踏まえて、定期移動や、不定期移動でキャンパー、ないしはキャンパーっぽく装ったSUVやミニバンを使うことが増えているのではないでしょうか。
さまざまな「くるまごと」要素が複合的に絡み合って、キャンパーブームが広がりを見せているように感じます。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
極論ではるが、
スポーツカーよりSUVの方が人気がある理由は、
スポーツカーは車好きしか興味を持たないが、
SUVはアウトドアスポーツに興味がある方にも関心を抱いてくれるから、
より多くの方に興味持ってもらえ人気を得られるからよく売れると言えるよね。
つまりは、
自動車メーカーがこういったBRコト事業に力を入れているのは、
車に関心のない方に車の性能をPRしても馬の耳に念仏のようなもので効果ないけど
車を活用してこんなコトが出来ますよという宣伝をした方が
車自体にあまり興味のない方にも良いPR効果があると気づいたからでしょうね。