古い「ETC車載器」使用不可間近も新規格「ETC2.0」普及率なぜ僅か? ETCに潜む課題とは
最近よく聞く「ETC2.0」ですが、次世代ETCとして高度な機能がある一方、メリットがわかりづらく普及が進んでいません。さらに、古いETC車載器が使えなくなるなど、ETCに関する問題に迫ります。
「ETC2.0」のメリットって一体なに?
今後、都市部では2025年度、地方部では2030年度に高速道路のETC専用化が実施される計画です。
ETCの車載が必須化となる流れですが、現在は高速料金の支払いに特化したETCだけでなく、最近は「ETC2.0」が登場しています。
ETC2.0とは、一体どのようなものなのでしょうか。

ETC2.0とは、ITS技術を活用した道路側とクルマ側の双方向通信によって、高速道路からの一時退出や最大1000kmもの道路交通情報を提供する次世代型ETCのことです。
しかし残念なことに、ETC2.0の普及率は、2020年1月の段階で約200万台。割合にして24.2%に留まっています(国土交通省調べ)。
有益な情報サービスを受けるためには、ETC2.0対応の車載器に加え、対応型のカーナビかスマホが必要なことがネックになっているといえるでしょう。
車載器やナビをわざわざETC2.0に買い替えるメリットがわかりにくいことから、利用者が思ったより増えていないようです。
それではETC2.0の新サービスはどんなものがあるのでしょうか。
まず、首都圏の外側をぐるりと囲む圏央道(新湘南バイパスを含む)が従来のETC料金の2割引で通行できます。
圏央道は神奈川県茅ケ崎から、東京都・埼玉県・茨城県を経由し、千葉県木更津までを結ぶ高速道路ですが、圏央道の利用者以外にはETC2.0割引のメリットはありません。
もうひとつのサービスは、高速道路から一時退出・再進入できる「賢い料金」という料金設定です。
現在は一部地域(道の駅23か所)での社会実験段階なのですが、「高速を利用して道の駅に立ち寄るための一時退出・再進入は追加料金なしにする」というものです。
しかしこれも道の駅を利用しない人にとってはメリットを感じにくいサービスといえます。
ドライバー全員に関係しそうなのが、「ダイナミックルートガイダンス」と名付けられた渋滞回避支援サービスです。
これは、ETC2.0とカーナビと連動させることで、広範囲の渋滞情報を活用して渋滞を回避した最速ルート情報を提供するサービスです。
そのほか対応型カーナビと連携して、車線合流地点や急カーブ、落下物や事故情報などを提供し、的確な回避行動を促すという安全運転に寄与する情報や、地震などの災害情報もいち早く伝達。ドライバーのリスクを減らすサービスも展開しています。
しかし従来のカーナビでも事故情報や迂回ルートは検索でき、災害情報などはスマホからも入手可能なわけで、ETC2.0でしか得られない有益なサービスがないところがウィークポイントになっています。
ユーザーにそれなりの出費(対応車載器や対応型カーナビの購入)を求めるのであれば、たとえば高速料金がすべて2割引など、もっとわかりやすいメリットがあれば、ETC2.0の普及が進むかもしれません。












