なぜ2021年度からエコカー減税縮小? ディーゼル車が対象外になった背景とは

2020年12月21日に政府は、クルマの税関連に関する「令和3年度税制改正」を閣議決定しました。これにより、各種免税などの優遇措置が2年延長しますが、一方で2023年度以降はディーゼル車が優遇措置の対象外となり、ガソリン車同等となることが明かされましたが、どのような影響があるのでしょうか。

「クリーンディーゼル」はなぜエコカー減税から外れた?

 2020年12月21日に閣議決定された「令和3年度税制改正の大綱」によると、これまでエコカー減税の対象となっていたクリーンディーゼル車の特例が廃止になることが決まりました。なぜクリーンディーゼル車は外れてしまったのでしょうか。

クリーンディーゼル車は魅力がたくさんあるものの、政府の方針からは外れ「エコカー減税」の対象外となることが決まった。
クリーンディーゼル車は魅力がたくさんあるものの、政府の方針からは外れ「エコカー減税」の対象外となることが決まった。

 2009年度の税制改正から始まった「エコカー減税」は2021年4月末が期限でしたが、2020年12月に閣議決定された2021年度の税制改正で、2023年4月末までの2年間延長されることが決まりました。

 しかし、2021年5月からはすべての乗用車で「令和12年度燃費基準」が基準となり、現行の「令和2年度燃費基準」より厳しいものへと変更されます。

 令和2年度(2020年度)の燃費基準は平均17.6km/Lだったのに対し、令和12年度(2030年度)の燃費基準は平均25.4km/Lと、数値にして8.8km/Lの改善が求められる内容となっています。

 2021年5月以降は、この数値の達成率によって減税率は変わりますが、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(EV)、燃料電池車(FCV)など免税扱いとなっています。

 そんななか、これまでは2回目の車検まで一律免税とされてきたクリーンディーゼル車の特例が廃止となり、2023年度以降のディーゼル車において優遇措置の対象外となりました。

 クリーンディーゼルエンジンは、ディーゼルエンジンが人体や環境に悪影響を与えるということで2003年に「ディーゼル車規制条例」が制定され、それに対応する形で進化したエンジンです。

 ディーゼルエンジンは、ガソリンよりも安価な軽油を使うため維持費が安くすみますが、呼吸器障害を起こす物質などを多く排出します。

 ですがクリーンディーゼルエンジンは、燃料を高い圧力と電子制御で完全燃焼に近づけることで、有害物質の排出を少なくすることを可能にし、燃料を無駄に消費しないことにより燃費が良くなるうえに、軽油ならではの燃焼エネルギーの大きさで太いトルクを両立しました。

 そんなクリーンディーゼル車は、なぜエコカー減税から外れるのでしょうか。

 クリーンディーゼル車の特例廃止について、マツダ販売店のスタッフは以下のように話します。

「エコカー減税の対象から外れるのは、化石燃料を極力使わない動力を優遇されていく世の中の流れがあるなかで、クリーンディーゼルも矢面に立った結果でしょう。

 政府はガソリン車とクリーンディーゼル車を同じ扱いにし、今後の化石燃料車を抑え込む目的もあると見ています。

 政府の打ち出すカーボンニュートラルに向けて、ゆくゆくはガソリン車を廃止していく方針のなかで、EVやHVといった次世代自動車のなかでも唯一化石燃料のみで動くディーゼルエンジンをガソリン車に組み込むことにより、自動車の電動化を推進する狙いがあるのではないでしょうか」

 2050年までにカーボンニュートラルを達成したい政府が、2030年半ばまでにすべての新車をHVを含めた電動自動車にするという報道も記憶に新しいですが、今回の税制改革でより具体的に電動化へ踏み出したということになります。

 今後のクリーンディーゼル車の展開について、三菱の販売店スタッフは以下のように話します。

「すでに三菱としては、ディーゼル車のエンジン開発を中止することが決まっています。

 順次クリーンディーゼル車を設定する車種を減らしていき、プラグインハイブリッド車やハイブリッド車が中心になっていくでしょう」

 また、前出とは別のマツダの販売店スタッフは次のように話します。

「マツダのクリーンディーゼル車である『SKYACTIV-D』は、独自技術を積み重ねて熟成しつつあります。

 今後もラインナップされ続けるとは思いますが、マツダは2030年までにすべてのクルマに電動化の技術を取り入れる予定で進めていますので減っていく可能性は高いでしょう。

 今回の税制改正を受けて、予定よりも電動化技術を取り入れる動きは早めた対応が必要になってくるのも、SKYACTIV-Dにとっては向かい風といえます」

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3件のコメント

  1. 往々にして場当たり的な政治的思惑で課税する日本政府のお粗末さ、
    電動化を急いだところで
    供給電源を火力に依存する日本では化石燃料もCO2排出量も削減にほとんど貢献せず、
    カーボンニュートラルとうそぶいて
    根拠に乏しく国民が納得しうる税収制度になっておりませんね、
    実質上はコロナ渦でばら撒いた税金の不足分を補うため外されたに過ぎない事は明らか、
    こんな減税施策に振り回されずに
    自身が納得し気に入った車を選ぶのが幸せであろう。

  2. 車が古いと上がる税金、都バスのようにディーゼルより重いハイブリッドバスが燃費は悪くてもハイブリッドシステムが付属するだけで14tもある巨体が重量税免税
    昔のワンステップバスのノーマルディーゼルが一番軽くエコなのにさw
    全くTOYOTAに配慮した税制だ。

  3. カーボンニュートラルを目指すという話なら、純粋に燃費だけでくくればいいだろうに。燃費が悪くてもHVなら減税対象で、どれだけ燃費が良くても純粋なガソリン・ディーゼルは減税にならないというのはねぇ。
    さらに言えば、バイオ燃料や合成燃料のe-フューエルはディーゼルサイクルとの相性が良いため、これらを用いCO2排出削減を図るならガソリンよりはディーゼルエンジンということになる。
    政策・規制は身のあるものにして欲しいよ。

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