買うなら今!! ポルシェ「964型911」の中古価格が上昇し続ける理由【中古車至難】
特徴的なRRレイアウトを採用し続けながらも、最新型の992型では速さと安定感を極めたポルシェ911。そんななか、市場価格がひと昔前と比べて2倍以上になるなど、価値を上げ続けているのが、クラシカルな空冷エンジンを搭載する「964型」。すべての愛好家を唸らせるその魅力は一体何だろうか。
進化の足跡を追うことができる一台
世の中には数多くの「ネオクラシック」と呼ばれるクルマが流通しているが、なかでもとりわけ注目したいネオクラシックのひとつが、「964」という型式名で呼ばれることが多い5世代前のポルシェ「911」だろう。
有名なクルマゆえ、今さらくどくど説明するつもりはないが、空冷方式の水平対向6気筒エンジンを搭載する911としては最後から2番目のモデルとなった964はいま、その中古車相場を上げ続けている。
15年ほど前までは総額で350万円も見ておけば、まずまずコンディション良好な5MTの964型ポルシェ「911カレラ2」を買うことができた。
しかしその後、世界的なネオクラシックカーブームが起こり、欧州や米国の好事家から依頼された海外バイヤー勢が、ニッポンの「程度良好なのに比較的安価な964」を買い漁り始める事態に。
結果、前述のとおり350万円ぐらいだった相場は500万円、600万円へと上昇し、最終的には「1000万円ぐらい」というところまでいってしまったのだ。
直近はさすがにやや落ち着き、「程度良好な5MTのカレラ2で700万円台か800万円台スタート」という塩梅になっているが、それでも昔の相場の約2倍。15年前の価格をリアルタイムで知っている人間からすれば、なんともこう阿呆らしい相場にも感じられることは否めない。
964型ポルシェ911の相場がここまで上がってしまった大きな理由は、前述のとおり「世界的ブームを背景とする海外バイヤー勢の買い漁り」である。しかし当然ながら、964が「魅力的なクルマだから」というのが根本的な理由であることはいうまでもない。
リアに空冷式の水平対向エンジンを搭載するポルシェ911の歴史は、1964年に始まった。その後、ターボ以外の自然吸気モデルは1974年に「930型」にモデルチェンジされ、その後を受けて、まずは1989年に四輪駆動の「カレラ4」から登場したのが「964型」だった
この964型の素晴らしさについて、細かく挙げていけばキリがない。
ボディの造形は、それまでの930型とほぼ変わってないようにも見えるが、実は約85%の構成パーツが新設計されたもの。
さらに、リアに重量物(エンジン)を積むポルシェ911が宿命的に内包していた「超高速域での直進不安定性」を完全解消するため、964型は、初代911から続いていた「わずかに前傾させて搭載する」というエンジン搭載角度を廃止。これにより、駆動フリクションを発生させる等速ジョイントを用いることなく4WD化に成功。そうして生まれたカレラ4は、911の宿痾であった「高速域での直進不安定性」をほぼ完全に解消したのだ。
そして964型のシャシは、そもそも全輪駆動であるカレラ4を想定して設計されたため、剛性面でのキャパシティが抜群に高いというのも特徴だった。それゆえ一般的な後輪駆動のカレラ2では、実はかなりの「余裕」が生まれている。
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