相場の10倍となる5000万円!! 『女王陛下の007』ボンドガールの愛車マーキュリー「クーガー」とは

アストンマーティンやBMW、そして日本車においてはトヨタ「2000GT」など、ボンドカーとして有名だが、映画『007』シリーズに登場したアメ車は意外と知られていない。その知る人ぞ知るアメ車と、驚きのオークション落札価格をお伝えしよう。

ボンドガールのクルマとして『007』に登場するクーガー

 一世紀を遥かに超える映画の歴史においては、数多くのクルマたちが銀幕を飾ってきた。なかでも世界的に人気の高い「007」シリーズにおける歴代ボンドカーたちの存在感は格別である。

 しかし、たとえ劇中でジェームズ・ボンド本人が運転するシーンのないクルマたちであっても、007シリーズに出演した劇中車両は特別視されるのが常である。そのほとんどがスクラップになるほどに酷使されてしまい、残されている個体は多くないのだが、それでもごくまれに現在のオークションに出品されることがあれば、同車種・同年代のクルマよりも格段に高い評価を受けるのが当然とされている。

 さる2020年12月中旬、クラシックカー/コレクターズカー・オークション業界の最大手、ボナムズオークション社が開催した「THE BOND STREET SALE」に出品・落札された1969年型マーキュリー「クーガーXR-7コンバーチブル」も、そのセオリーを如実に示す1台であった。

●フォード・マスタングの、ちょっと高級版

『女王陛下の007』劇中ではポルトガルのビーチにおけるオープニングシーンに登場したのち、スイスアルプスでは雪中カーチェイスした「クーガーXR-7コンバーチブル」(C)Bonhams 2001-2020
『女王陛下の007』劇中ではポルトガルのビーチにおけるオープニングシーンに登場したのち、スイスアルプスでは雪中カーチェイスした「クーガーXR-7コンバーチブル」(C)Bonhams 2001-2020

 1930年代末、北米フォード社内での上級ブランドとして誕生したマーキュリーは、第二次大戦後もフォード各モデルとコンポーネンツを共用する、ちょっと高級なクルマづくりを担当していた。

 1967年モデルとして初登場したクーガーは、そんなマーキュリーブランドが初めて開発したスポーツスペシャルティー・コンパクトカーである。メガヒット作となった初代フォード「マスタング」のメカニカルコンポーネンツを流用しつつも、柔らかなプロポーションと上品なディテール。そして「ヒドゥン・ヘッドライト」(消灯時はカバーで隠す)を特徴とする、独自のクーペボディが与えられていた。

 また、特定のグレードを持たないことを前提としていたマスタングに対して、クーガーにはスポーツ指向の「GT」およびスポーティエレガンス指向の「XR-7」という、ふたつのグレードが最初から用意され、今や歴史的伝説と化している初代マスタングほどではないが、当時の新車マーケットにおいても一定の成功を収めることになった。

 そして、1969年に2度目の大規模マイナーチェンジを果たしたマスタングに合わせて、デビューから3年目を迎えるクーガーも、ボディを当時流行の兆しを見せていた「コークボトルライン」へとリファインした。

 このマイナーチェンジでは、クーガーとしては初めてコンバーチブルボディの選択が可能となったほか、トップスポーツグレードとして「エリミネーター」も設定されることになった。

 1969年モデルのエンジンは、すべてV型8気筒OHV。スタンダード指定のスモールブロック351c.i.(5.8リッター/250ps)のほか、オプションで351c.i.(300ps/エリミネーターに標準)、ビッグブロック428c.i.(7リッター/335ps)もセレクト可能であった。

 加えて、レーシングホモロゲート仕様の「BOSS302」専用として、同時代のマスタングと同じく302c.i.(5リッター/290ps)や「BOSS429」専用429c.i.(7.1リッター/375ps)も、ごく少数ながら製作されていたという。

 2020年末のボナムズオークション社「THE BOND STREET SALE」に出品された1969年型マーキュリー・クーガーXR-7コンバーチブルは、オーストラリアの俳優ジョージ・レーゼンビーが「ジェームズ・ボンド」役で一度だけ主演し、1969年に公開された『女王陛下の007(原題On Her Majesty’s Secret Service:英米共作)』の撮影で使用するために、一連の007シリーズを手掛けてきた制作会社「イーオン・プロダクションズ」が購入した、ごく少数のクーガー(3台説と4台説があり)の1台とされている。

 この作品でレーゼンビーと共演したのは、悪の首魁ブロフェルド役のテリー・サヴァラスと、「ボンドガール」にして007史上唯一ボンドの正式な妻となるコンテッサ・テレサ“トレーシー”ディ・ヴィセンツォに扮したダイアナ・リッグ。そしてこのクーガーXR-7は、劇中ではトレーシーの愛車として登場する。

【画像】ボンドが乗ったマーキュリーは5000万円!(20枚)

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