ガソリンスタンドの未来はどうなる?「脱純ガソリン」で石油元売り各社に迫る改革の波とは
石油元売り会社の「脱ガソリン対策」は?
石油元売り会社はどのような「脱ガソリン」対応策を講じているのでしょうか。
エネオスブランドは、2017年4月に当時の「エッソ」「モービル」「ゼネラル」を展開していた東燃ゼネラル石油が「エネオス」を展開しているJXホールディングスの完全子会社になり、2021年1月現在はエネオスブランドに統一されました。
業界再編をおこないつつ、従来のガソリンスタンド運営以外に全国44か所で水素ステーションを展開しています。
2020年10月現在、エネオスは全国に44か所の水素ステーションを展開しており全国の約4割を占める数です。
2021年1月4日に国土交通省が水素ステーションに関する規制緩和を発表(2月中に公布・施行予定)したことで、近い将来にはFCVへの水素充填が現在よりもやりやすくなることが考えられます。
エネオスの水素ステーションも今後はますます増えていくことが期待されます。
また、エネオスブランドではコインランドリー併設事業を開始しています。
2020年9月、給油所の経営多角化の一環として、ガソリンスタンドへのコインランドリー併設事業が発表されました。
グループ直営店での併設を進め、2021年4月以降は特約店での併設も始まり、給油や洗車などをしている間に、コインランドリーの利用が出来るなど、利便性が高まっています。
2019年4月に経営統合を発表した出光と昭和シェル。2021年4月から新ブランドのガソリンスタンド「アポロステーション」が展開されます。
2023年末までには両ブランド合わせて全国6400拠点がアポロステーションに切り替わることになります。
アポロステーションでは、従来の給油やカーケアサービスだけでなく、地域の移動を支えるさまざまな新たなサービスの展開を見据えているとのことで、EV用の充電サービスはもちろん、ほかの元売り会社との差別化を図る戦略を進めるようです。
また、2018年12月14日に昭和シェルと日本ピザハットは、日本初となる協業店舗・第1号店「セルフ代々木サービスステーション」と「ピザハット代々木店」を東京都渋谷区にオープンしました。
新業態で展開される協業店舗は、より身近で、便利に、楽しくピザを食べて頂く機会を提供するピザハットと協業することで、利用者が燃料補給とピザのテイクアウトという2つのニーズをワンストップで済ませられるという利便性に富んだ店舗だといいます。
日本ピザハットとの協業をスタートした背景について、昭和シェルは次のように話します。
「お客さまのニーズは多様化しています。より身近で利便性の高い店舗を実現するために、以前から他業種との協業を検討しつつ、パートナーとなる企業を探していました。
ピザハットとの協業については、弊社から提案させて頂き、ピザハットにとっても集客がある場所に出店することで新たにピザを購入する機会が増えるなどメリットがあり、2018年8月に業務提携を合意しています」
コスモ石油も系列店への充電設備の設置や電力販売を展開しています。
ほかにないユニークなサービスとして人気を高めているのが、「めんくるパック」(免許+クルマ)というサービスです。
同社では、2011年からガソリンスタンドで契約が可能な個人向けカーリース「コスモMyカーリース」を展開してきましたが、2019年より自動車教習所の費用と車両の費用が月々の料金に組み込まれた「めんくるパック」の販売がスタートしています。
運転免許を取得する段階でクルマを保有するイメージが持てるようになることから、販売開始以降、大変好評を得ているとのことです。
2021年1月15日現在、全国125か所の自動車教習所と提携してサービスの提供をおこなっています。
給油や充電(充填)だけではなく、利用者にとって使いやすいサービスが拡大することで、これまでとは異なるモビリティのハブスポットとしての活用が期待されます。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。
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