ターボといえばポルシェ「911」を決定づけた930ターボとは?

ポルシェ「911」のトップレンジに君臨する「911ターボ」は、911の2代目となる「930」型から登場した。実に14年もの間販売された930型911ターボの初期と最終後期を見比べてみよう。

ポルシェ「911」にターボを持ち込んだ「930」型とは

 ポルシェが、1974年に901型「911」をモデルチェンジし、登場したのがコードナンバー930型「911」である。

 1989年にモデルチェンジされ964型となるまで、長期にわたって改良を加えられ、完成度を高めていったクルマであり、ポルシェの、そして911のブランディングを高めたモデルでもある。

ポルシェ「911ターボ」のリアフェンダーの膨らみとリアスポイラーは、憧れの象徴でもあった(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's
ポルシェ「911ターボ」のリアフェンダーの膨らみとリアスポイラーは、憧れの象徴でもあった(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 そのなかで1976年に登場したポルシェ「911ターボ3.0」は、ポルシェとして初めてターボチャージャーを採用したモデルだ。それまでレーシングカーではすでにターボを採用し、勝利を重ねていたポルシェだが、この同車初のターボ装着車は、現代では考えられないほどのターボラグの大きさから、不用意なアクセルオンは厳禁といわれるくらい、運転が難しいとされるクルマだった。

 ポルシェオーナー同士で、NAエンジンとターボエンジンのどちらが優れているかとしばしば議論されることもあるが、その後「ポルシェ911ターボ」は、ポルシェのトップレンジの代名詞といえるモデルへと成長する。ポルシェのターボ神話は、930型911ターボから始まったものである。

 この911にターボのイメージを植え付けた930型911ターボが、2021年2月に開催されるRMサザビーズオークション「パリ」に、2台出品された。

 1台は260psの3リッターエンジンを搭載した1977年式、もう1台は300psの3.3リッターエンジンを搭載した1985年式の911ターボだ。

●1977 ポルシェ「911ターボ3.0」

比較的初期モデルに近いポルシェ「911ターボ」
比較的初期モデルに近いポルシェ「911ターボ」

 1台は1977年式で、もう1台は1985年式。つまり、930型の初期とモデル末期に近い対照的な2台である。

 まず1977年式ポルシェ「911ターボ3.0」から見ていこう。

 この個体は1976年11月に、アメリカ・カリフォルニア在住のオーナーによって登録されている。その後1984年までアメリカにあったが、そこからの記録が途絶え、1993年にオランダで再登録されたという記録が残っている。

 2008年にはドイツでオーバーホールがおこなわれ、エンジンはマーレー製ピストンが組まれており、シリンダーやヘッドなどにも手が入れられている。そのほかやトランスミッション、サスペンションもオーバーホールを受け、その後は定期的なメンテナンスを受けている。

 装備的な部分に目を向けると、オリジナルのブラウンレザーインテリアの状態は良く、エアコンも完調。ラジオ&カセットプレイヤーもオリジナル品のままで完動品となっている。サハライエローのボディカラーも、オリジナルカラースキームで仕上げられたものだ。

●1985 ポルシェ「911ターボ3.3」

モデル末期のポルシェ「911ターボ」(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's
モデル末期のポルシェ「911ターボ」(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 もう1台の1985年式ポルシェ「911ターボ3.3」は、電動スポーツシートやスライドサンルーフが装備されたものだ。

 1985年5月にドイツ・ハノーファーで最初のオーナーに引き渡され、その後一時期スペインにあったようだが、履歴ははっきりとしていない。

 ただし、2017年に、1万ユーロ(邦貨換算約126万円)以上を掛けてエンジンのリビルトをおこなっていることはわかっており、現状では各部がほぼオリジナル状態となっている。

 ボディカラーもオリジナルのままであるほか、走行距離は8万9000km弱である。履歴がはっきりしていないため、コンクールコンディションというよりは、自らが運転して楽しむためのもの、と考えたほうがいいかもしれない。

 この2台の930型911ターボが、どのくらいの落札価格となるのか、VAGUEでは引き続きウォッチしていく予定だ。

【画像】初期型と後期型の「911ターボ」の違いをチェックする(27枚)

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