実は「ヤリス」じゃなく「ライズ」が1位? 合算台数で勢い増す2020年の販売事情とは
2020年の登録車販売台数では、1位トヨタ「ヤリス」、2位トヨタ「ライズ」、3位トヨタ「カローラ」という結果でしたが、実は本当の1位はライズだったという話があります。販売台数の仕組みとはどのようなものなのでしょうか。
2020年登録車N0.1はトヨタ「ヤリス」だけど…
2020年の年間登録車販売ランキングが発表され、登録車(小型車と普通車が対象で軽自動車は除く)の順位をみると、上位10台のうちトヨタ車が7台も入っていました。
そのトップに位置したのが2020年2月に発売された「ヤリス」です。そのヤリスがトップになった販売台数の仕組みとはどのようなものなのでしょうか。
トップ10圏内でトヨタ車以外は、4位のホンダ「フィット」(9万8210台)、7位のホンダ「フリード」(7万6283台)、そして9位の日産「ノート」(7万2205台)のみとなります。
また、SUVのトヨタ「ライズ」が12万6038台でランキング2番手につけたのは、昨今のSUVブームとコンパクトカーブームをしっかり反映していた記録といえるでしょう。
同じくトヨタのミニバン「アルファード」が大躍進して5位(9万748台)になったのも注目(2019年は6万8705台で13位)。
アルファードは、もっとも安価なグレードでも約350万円するミニバンが9万台以上も売れたのだから驚きです。
ただしこれには事情があり、アルファードの兄弟車となる「ヴェルファイア」は2019年の23位(3万6649台)から2020年は37位(1万8004台)へと大きく後退。
2車種を合計すると、2019年は10万5354台、2020年は10万8752台とほぼ横ばいなのです。
つまりアルファードの飛躍とヴェルファイアの凋落が進んで両者の差が開いたことに。
2020年5月からスタートした全国のトヨタ販売店での全車扱いが背景にあるのは間違いありません。
そのなかで、1位となったヤリスですが、日本では新たな車名で販売され、年間登録車販売ランキングでトップに輝くのは今回がはじめてです。
かつて、前身の「ヴィッツ」(1999年から2020年)や、その前身の「スターレット」(1973年から1999年)でも年間販売ランキングでトップに立ったことはありませんでした(2位となったことが6回ある)。ネーミングチェンジで悲願達成といっていいでしょう。
しかし、話はそう簡単ではありません。
多くの人は「ヤリスがトップに立った」といえば、「ハッチバックのヤリスが日本一売れたと」思うかもしれませんが、実はそうではないからです。
なぜならヤリスという車名には、ハッチバックのヤリスと3ドアの「GRヤリス」だけでなく、ボディタイプが異なるSUVの「ヤリスクロス」も含まれているのです(「ムーヴ」と「ムーヴ・キャンバス」を合算する「ムーヴ」などボディが異なっても同一モデルにカウントされる例はほかにもある)。
では、ハッチバックとGRヤリス、そしてヤリスクロスを別に数えるとどうなるでしょうか。
2020年のヤリスシリーズの販売台数の内訳は以下の通りとなります(以下のデータはトヨタ調べで最終桁は四捨五入)。
・ヤリス(5ドアハッチバック):11万5300台
・GRヤリス:3670台
・ヤリスクロス:3万2810台
つまり5ドアハッチバックだけのカウントでは、2位のライズ(11万8276台)やカローラシリーズ(11万8276台)に抜かれてランキング3位。
ただし、カローラシリーズのカウントには、先代モデルとなり現在は法人向けとなる「カローラアクシオ」や「カローラフィールダー」、2018年に登場した「カローラスポーツ(ハッチバック)」、そして2019年に登場した「カローラ(セダン)」、ステーションワゴンの「カローラツーリング)」が含まれています。
そのため、車種単体で考えると2020年登録車でもっとも売れたのはライズということになります。
ヤリスクロス(ガソリン)の方が比率が低いのは、
ヤリスクロス(ガソリン)モデルを目当てで販売店に訪れた客が、
納期や価格等の比較検討してみたら
同じ販売店で売ってるライズでも良いじゃないかとそちらに流れ
ライズの売り上げを積み増している可能性もありそうですね。