走行距離たったの983km! 奇跡の「チゼタ」が「ディアブロ」に似ている理由とは

ガンディーニ作という神通力は通用するのか

 実際に完成されたボディは、まさに空気の壁を切り裂くが如き鋭いウェッジシェイプスタイルだった。

 ドライバーの着座位置は見た目にはかなり前方にあるが、これはリアミッドに搭載されるエンジンに直接の理由がある。ザンポーリは自身の野心作にV型16気筒エンジンを横置き搭載するという驚異的な発想で、このスーパースポーツを完成させたのである。

●1993 チゼタ「V16T」

チゼタ「V16T」には右ハンドル仕様も存在した(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's
チゼタ「V16T」には右ハンドル仕様も存在した(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 車名のV16Tとは、V型16気筒エンジンを横置き搭載することを意味している。

 パートナーのモロダーは、第1号車が完成するのに前後して、このプロジェクトから離れてしまったため、車名はシンプルに「チゼタV16T」と呼ばれることになったが、実際に完成したプロトタイプは、ザンポーリの夢をそのまま形にした、まさに理想そのものであった。

 チゼタV16Tのボディサイズは、全長4442mm×全幅2060mm×全高1115mm。印象的なのはやはり全幅の大きさで、実際にV16Tの姿を見ても、リアに向って増していくボリューム感は強く印象に残る。

 リアミッドに搭載されたV型16気筒エンジンは、プロトタイプ時には560psを宣言していたが、プロダクション仕様では520psにデチューンされた。組み合わせられるトランスミッションは5速MTだ。

 アリゾナ・オークション2021の主催者、RMサザビーズの調査によれば、オークションに出品されたS/N:101のV16Tは、シンガポールのディーラーから、ロイヤル・ブルネイのファミリーに代わってオーダーされたものだという。

 ロイヤル・ブルネイは、このブルーのV16Tのほかに、ブラックを2台購入しており、その特長はいずれも右ハンドル仕様であることだった。当然のことながら出品車も右ハンドル仕様モデルとなっている。

 シンガポールに出荷されたこのV16Tは、理由は不明ながら25年以上にわたって、そのままディーラーに保管されたという。ロイヤル・ファミリーのための保管であるから、メンテナンスやクリーニングもきちんとおこなわれたことだろう。

 オドメーターが刻む走行距離は、わずかに983kmでしかない。

 プロトタイプを含め、十数台のみが生産されたのみというチゼタV16T。今回RMサザビーズは、それに60万−75万ドル(邦貨換算約6230−7800万円)というエスティメート(予想落札価格)を示してみせた。はたしてその結果はいかに。

【画像】幻のスーパーカー、チゼタ「V16T」のディテールチェック(26枚)

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