交通ルール無視の“宅配自転車”が急増! 接触すれば車が加害者!? 自分を守るためにできる事とは

距離をとった運転で接触事故を回避

 危険な運転をしてまで配達を急ぐ宅配サービスの自転車から身を守るためには、どのようなことに気を付けたらよいのでしょうか。

 現状でできる行動のひとつとして、自分とクルマを守る意識や運転を心がける「自衛的運転」が大切になります。

 自衛的運転とはどんなものなのか、都内教習所の元教官に話を聞いてみました。

仕事で自転車を使う人の事故が増えている(イメージ)
仕事で自転車を使う人の事故が増えている(イメージ)

「1番良いのは、宅配サービスの自転車が多いエリアに近づかないようにすることです。多少距離と時間はかかりますが、繁華街などの中心部を通らずに迂回することで、マナーの悪い自転車との遭遇自体の回数を減らして身を守るということです。

 また冬場は歩行者も下を向いて歩くなど周囲の確認を怠りがちになる傾向もありますので、自転車と歩行者と距離がある大通りなどを中心に走行するようにするのも手だと思います」

 目的地が都市部の真ん中にある場合などは、どうしても人や自転車などが多いエリアを通らなければなりません。そのようなときは、やはり速度を落として走行するのが安全策だといいまし。

「自転車が突然飛び出してきても対処できる程度まで速度を落とす意識でクルマを運転するといいと思います。教習所で散々教わった『かもしれない運転』が有効です」(元教官)

 宅配サービスだけでなく大通りの車道を走行する一般の方の自転車も増えており、急な車線変更や渋滞時などは無理なすり抜けも多く、増えているのが軽微な接触事故です。

 これにはやはりドライブレコーダー(ドラレコ)で証拠映像を残しておくことが自衛手段としては有効だとされています。

 実際に都内の整備工場に勤務する整備士は、自粛生活がスタートしてからドラレコの装着依頼が増えていると教えてくれました。

「個人だけでなく、自動車保険会社からの依頼でドラレコを装着することも増えています。それだけ運転中のトラブルに対して、ドラレコで撮影した映像が証拠として採用されているケースが増え、ある種の抑止力になっているようです」

 現状では、保険会社からの依頼では前方のドラレコ装着が主流ですが、個人の依頼ではリアへのドラレコ増設も増えているのだそうです。

 ただし自転車から接触した事故は軽微なものが多く、そのまま逃げてしまうケースも多いというので注意が必要です。

 最近では自転車も保険加入が進んでいますが、自動車保険と比べるとまだ保証内容が乏しいので、心配な人は車両保険にも加入したほうがいいかもしれません。

 ちなみに2020年6月30日に改正された道路交通法では自転車の「危険行為」の項目に、「妨害行為(いわゆる、あおり運転)」が追加されました。

 具体的には、クルマやバイク、ほかの自転車の通行を妨げる目的で「逆走によって進路をふさぐ」「幅寄せ」「進路変更」「不必要な急ブレーキ」「ベルなどの警音器を執拗に鳴らす」「車間距離の不保持」「追い越し違反」の7項目が追加になっています。

 また、もともと自転車の「危険行為」と認定されている項目には、以下のようなものがあります。

・信号無視
・通行禁止違反
・歩行者道路での徐行違反
・通行区分違反
・路側帯通行時の歩行者妨害
・遮断踏切立ち入り
・交差点安全運転義務違反
・交差点優先車妨害
・環状交差点安全侵攻義務違反
・指定場所一時不停止
・歩道通行時の通行方法違反
・制動装置(ブレーキ)不良自転車運転
・酒酔い運転
・安全運転義務違反

 自転車を運転する際に多くの項目が禁止されているのですが、それらを改めて確認してみると、宅配サービスの自転車は複数の危険行為をしながら走行しているケースが多々見受けられます。

 ドラレコの映像がどこまで証拠になるかは状況次第となりますが、接触事故などが発生した場合は、宅配サービスの自転車が上記の違反に該当していることをドラレコの映像で確認することもできますので、何が危険行為に当たるのかを、ある程度は覚えておきたいところです。

※ ※ ※

 自転車の危険行為として認定されている運転は、そこまで厳密に取り締まりの対象にはなっていません。

 しかし、進路変更や車道での逆走は日常化しており、いつクルマと事故を起こしてもおかしくない状況です。

 クルマのドライバーが安全運転していれば回避できるものばかりではないので、もらい事故などに遭遇しないように、自転車と距離をおくような運転を心がけましょう。

【画像】自転車のルール違反増加! 配達員はなぜ急ぐ?(16枚)

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Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ

2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。

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