またも豪雪で北陸道でも立往生発生! なぜ関越道の教訓が生かされなかったのか?
将来的に、除雪作業が自動運転化される!?
今回、事前の通行止めは本当にできなかったのでしょうか。
詳細な原因究明について今後、NEXCO中日本が検証し発表するはずですが、北陸地方の行政機関との繋がりが強い筆者(桃田健史)として個人的な考えを紹介したいと思います。

筆者は、福井県永平寺町で自動走行や、オンデマンド型地域交通「近助タクシー」など、新しい町づくりに関する政策を協議する「永平寺町エボルーション大使」として、町内に一軒家を借りて首都圏から定期的に通っています。この生活を3年間続けています。
筆者のような関東地方出身者にとって、北陸は東北のように雪深い印象を持っている人が多いかもしれません。
2018年2月の豪雪を除き、福井市に隣接する永平寺町周辺で降雪することはほとんどありませんでした。
当初は雪深い環境での生活を想定し、筆者は四輪駆動車を用意したのですが、地元の人たちは「そもそも福井はさほど雪が降らず、豪雪は数十年で一度のこと」として、冬タイヤは装着するにしても、軽自動車でもFF(前輪駆動車)の使用率が高い印象があります。
こうした生活環境で筆者を含め、福井周辺の住民の多くに「先回(2018年2月)から3年あまりで、まさか再び…」という気持ちがあったのかもしれません。
とはいえ、地元の公共機関であるえちぜん鉄道や福井鉄道は9日の終日運休を決めており、豪雪に対して地域住民の警戒感はありました。
そのうえで、福井県やNEXCO中日本が、2018年2月豪雪と2020年12月での関越自動車道のケースを十分に分かったうえで、結果的に北陸自動車道など事前に通行止めにできなかったことについて、今後、かなり踏み込んだかたちでの検証が必須だと思います。
もう1点、除雪作業の在り方についても、根本的な改善が必要だと思います。
高速道路での除雪車は大型車が多いため、今回の北陸自動車道でも、滞留車両の脱出では陸上自衛隊員の手作業による人海戦術に頼るしかありませんでした。
また、永平寺町での実情を踏まえてお伝えすると、一般公道の除雪は市・町・村が職員、または外部業者に委託しておこなうのですが、除雪状況全体を把握することは難しく、場当たり的な対応にならざるを得ない状況です。
日中の業務を終えた町の職員が夜間も除雪するなど、道路インフラ整備を懸命におこなうケースも珍しくありません。
そうした現状を改善するため永平寺町では、総務省の支援事業でNTTドコモなどと協業し、5G(第五世代通信)を活用した遠隔・自動運転除雪の実証試験を2020年1月に実施しました。
皮肉なことに、このときは暖冬で雪がなく、雪のカタマリを想定したビニール袋を使いました。
除雪作業は、雪で埋もれた周辺物を破損させないなど、事前情報と経験が必要です。
こうした情報をデータ化し、また除雪車の位置やカメラ映像による除雪現状の見える化が可能になることが、実証試験を通じてよく分かりました。
今後、除雪作業のデジタル化に加えて、気象状況の急激な変化と交通流の状況変化を総合的に判断できるシステムの情報を道路管理会社、自治体、警察で常時把握することで、高速道路の事前通行止めを含めた総括的な交通制御に対応できる可能性が高まるはずです。
これからの各方面での動向を注視していきたいと思います。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。


























