VWのクーペSUV「T-ロック」はどう変わった? 人気コンパクトSUV「T-クロス」との違いとは

あらためてT-ロックに試乗してわかったT-クロスとの違い

 試乗したT-ロックは、T-クロスよりも全長が125mm、全幅が65mm、ホイールベースが40mmそれぞれ大きく、全高は10mm低い。

 クロームパーツをあしらい上級イメージを演出した外観の雰囲気は似て非なり、VW車としては珍しくずいぶん思い切ったフォルムが与えられているが、後席も含め車内の居住性は十分に確保されており、5名乗車時のラゲッジ容量の差も、Tクロスと比べてわずか10リットル減にとどめているなど、実用性にも配慮されているあたりはいかにもVWらしい。

VW「T-ロック スタイルデザインパッケージ」の走り。試乗車は仕様変更前の仕様だ
VW「T-ロック スタイルデザインパッケージ」の走り。試乗車は仕様変更前の仕様だ

 また、T-ロックには電動テールゲートやレザーシートが設定されるのが特徴ながら、インパネまわりに大差はなく、価格差相応にもう少し質感が欲しかった気もしなくない。

 エンジンの印象はイメージどおりで、150ps・340Nmのパワー・トルクを発揮する2リッター4気筒ディーゼルを積むT-ロックは、116ps・200Nmを発揮する1リッター3気筒ガソリンを積むT-クロスよりも低回転から圧倒的に力強く、サウンドにも4気筒の優位性が感じられる。WLTCモード燃費も、T-クロスの16.9km/Lに対しT-ロックは19.5km/Lと上回り、さらに燃料単価の安い軽油ゆえ、経済性にも優れる。

 また、乾式ではなく湿式の多板クラッチを備えた高トルク対応型のトランスミッション「DSG」は、持ち前の歯切れのよいシフトチェンジに加えて、つながりがスムーズで扱いやすいのもT-ロックの強みだ。

 足まわりには電子制御ダンパーの「DCC」を標準装備するのがポイントで、状況に合わせて減衰力を適宜調整してくれるおかげで、19インチの偏平タイヤを履きながらもしなやかでフラットな走りを味わえる。いかにも車高と重心高の高そうなSUVっぽい感覚はまったくなく、FFながら優れた操縦安定性はもちろん、意のままに操れる正確なハンドリングもさすがはVW、というほかない。

 T-クロスが大衆車ブランドとしてのVWの良心を感じさせる、VWらしい良品廉価のクルマであるのに対し、T-ロックはプレミアムブランドの領域まで踏み込もうとした意欲がうかがえる。両モデルの価格差はその表れだろう。ただし、一見すると割高に感じられるT-ロックの価格も、内容を理解して実車に触れるほどに、じつはリーズナブルであることに気づかされる。

VW「T-ロック スタイルデザインパッケージ」のインパネ
VW「T-ロック スタイルデザインパッケージ」のインパネ

Volkswagen T-Roc Style Design Package
フォルクスワーゲン T-ロック スタイルデザインパッケージ

・車両価格(消費税込):404万9000円
・全長:4240mm
・全幅:1825mm
・全高:1590mm
・ホイールベース:2590mm
・車両重量:1430kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
・排気量:1968cc
・駆動方式:FF
・変速機:7速DSG(DCT)
・最高出力:150ps/3500-4000rpm
・最大トルク:340Nm/1750-3000rpm
・タイヤサイズ前後:215/55R17
・WLTCモード燃費:18.6km/L

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