突然のチェーン規制! オールシーズンタイヤは走行可能? スタッドレスは問題なし?

2020年12月16日に降った大雪により、関越道小出ICから塩沢石打ICの間では2000台以上のクルマが立ち往生、解消するのに2日間かかってしまったというニュースは記憶に新しい。通行止めならばどのクルマも通行できないが、いま流行のオールシーズンタイヤを履いていたときに高速道路で「チェーン規制」になった場合、走行することはできるのだろうか。

1年中履き替えいらずで流行の兆しのある「オールシーズンタイヤ」

 春/夏/秋のドライやウエット路面だけではなく、冬のスノー路面も走行できるため、一年中履き替える手間がいらないということで、日本でも流行の兆しのあるのが「オールシーズンタイヤ」だ。

春夏秋のドライ/ウエット、そして冬の雪道も走れ、一年中履き替えいらずで人気があがっているオールシーズンタイヤだが、チェーン規制時も走れるのだろうか
春夏秋のドライ/ウエット、そして冬の雪道も走れ、一年中履き替えいらずで人気があがっているオールシーズンタイヤだが、チェーン規制時も走れるのだろうか

 オールシーズンタイヤの歴史は意外と長く、いまから40年以上前の1977年、グッドイヤーが北米で「TIEMPO(ティエンポ)」という世界初のオールシーズンタイヤを発売したのが最初といわれている。

 日本では2008年から、グッドイヤーが「ベクターフォーシーズンズ(ベクター4)」を発売したのが最初となる。以来、ベクター4のみの時代が続いていたが、近年ではグッドイヤーやミシュランなどの海外ブランドだけではなく、国産タイヤメーカーからも続々とオールシーズンタイヤが発売されている。

 冬の雪道も走ることができる「冬タイヤ」に属するオールシーズンタイヤを履いたクルマで、チェーン規制時に高速道路を走行することはできるのだろうか。

 いま、一般的にチェーン規制と呼ばれているものはふたつある。まずひとつは「冬用タイヤ規制(すべり止め装置装着規制)」だ。

 雪が降った場合、高速道路では段階的に交通規制が入る。

 雪が降ると、まずは最高速度が50km/hないし80km/hに規制される(最高速度が最初から60km/hに制限されている区間については40km/hに規制される場合もある)。

 次に降雪が多くなると「冬用タイヤ規制(すべり止め装置装着規制)」になる。一般的にはこれがチェーン規制と呼ばれるものになる。その後さらに路面状況が悪くなった場合、「チェーン装着車以外通行止め」となり、最後は「全車通行止め」となる。

 ただしこれらの規制は、道路交通法に基づく高速道路交通警察隊長の権限でおこなわれるので、以上のような段階を経ずに全車通行止めになることもある。

 もうひとつ、チェーン規制と呼ばれるものは「チェーン装着車以外通行止め」だ。

 2018年12月14日に「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(昭和35年総理府・建設省令第3号」の一部が改正され、新しい規制標識が新設された。

 これは大雪特別警報や、大雪に対する緊急発表がなされるような異例の降雪があるときにおこなわれるチェーン規制で、この場合はオールシーズンタイヤだけではなく、たとえスタッドレスタイヤを履いていても、チェーンを装着しなければ走行できない。

 この場合のチェーンとは、金属チェーンのほか、ウレタンやゴムチェーン、樹脂製チェーン、布製カバータイプなど、自動車用品店などで販売されているものであれば大丈夫だ。ただし、「スプレーチェーン」と呼ばれるスプレータイプの滑り止めは、チェーンには当てはまらないので、たとえ持っていたとしても走行はできない。

 この新しいチェーン規制は、現在以下の全国13カ所を対象区間としている。

【一般道6か所】
●月山道路(国道112号:山形県西川町月山沢から鶴岡市田麦俣)15.2km
●山中湖・須走(国道138号:山梨県山中湖村平野から静岡県小山町須走字御登口)8.2km
●大須戸から上大鳥(国道7号:新潟県村上市大須戸から村上市上大鳥)15.3km
●石川県境から坂井市(国道8号:福井県あらわ市熊坂からあらわ市笹岡)3.2km
●赤名峠(国道54号:広島県三次市布野町横谷から島根県飯南町上赤名)2.5km
●鳥坂峠(国道56号:愛媛県西予市宇和町から大洲市北只)7.0km

【高速道路7か所】
●上信越道(E18:信濃町ICから新井PA:上り線)24.5km
●中央道(E20:須玉ICから長坂IC)8.7km
●中央道(E19:飯田山本ICから園原IC)9.6km
●北陸道(E8:丸岡ICから加賀IC)17.8km
●北陸道(E8:木之本ICから今庄IC)44.7km
●米子道(E73:湯原ICから江府IC)33.3km
●浜田道(E74:大朝ICから旭IC)26.6km

冬の高速道路走行は天候の急変にも気をつけたいところだ
冬の高速道路走行は天候の急変にも気をつけたいところだ

 この2018年12月からはじまったこの「チェーン規制」は、大雪によって立ち往生するクルマが発生しそうな、大雪特別警報などが発表されたりする特別なときに、全国13か所という特別な場所でおこなわれるものだ。ちなみに先日の大雪で2000台以上が立ち往生してしまった関越道小出ICから塩沢石打ICは、この対象区間に含まれていない。

「スタッドレスタイヤを履いているのにチェーンを装着しないと走れないのはおかしい」という意見もあるようだが、逆に考えれば「タイヤチェーンをつけていれば通行できるようにすることで、これまでよりも積雪による通行止め時間を短くする」ことを目的としているということだ。

【画像】冬道はご用心! 最新オールシーズンタイヤを見る(32枚)

【2023年最新】自動車保険満足度ランキングを見る

画像ギャラリー

1 2

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

1件のコメント

  1. 昔スパイクタイヤがあり環境問題とうがあり廃れていき今のスタットレスタイヤが雪国では主流となった
     その当時ピンがなければ雪道なんて走れないと思っていたのが今は嘘のように思える
    チェーン規制と聞きスタットレスでもと聞いた時には耳を疑った 北海道に住んでいるとあまり聞かないから またそのような道路状況だと管理者がきちんとしていて…
    本州の道路事情だとしかたないのだろうか?

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー