コロナ禍で需要高まり中古車市場はウハウハ? 新車と中古で異なる複雑な事情とは
中古車市場は追い風も、手放しでは喜べない事情とは
一方、中古車市場はどのような動きを見せているのでしょうか。
自販連の統計データによると、中古乗用車(普通車+小型車)の登録台数は、新車販売台数とは異なる動きを見せていることがわかります。
4月と5月はそれぞれ前年同月比9.8%減、同20.8%減とコロナの影響をうけて前年割れはしているものの、その下げ率は新車ほどではありません。
その後、6月は同5.8%増とすでにプラスに転じており、7月は同3.8%増、8月は同4.7%増と堅調に伸びていることがわかります。
9月は同3.2%減となっていますが、2019年9月は消費税増税前の駆け込み需要があったため、その影響と考えるのが妥当です。
そして10月は同12.5%増、11月も同2.7%増と、6月以降はトータルで前年比を上回っています。
つまり、コロナが本格化した4月以降で見ると、新車販売は落ち着きを見せている一方で、中古車の登録台数は増加しています。
この要因について、ある中古車販売店の関係者は次のように話します。
「『ウィズコロナ』や『ニューノーマル』といった言葉が登場してからは、『3密』を回避できる移動手段としてクルマが見直されているというのは実感しています。
日常の移動に使うのであれば、新車である必要もないと考えるお客さまが多いのはもちろんですが、中古車の場合、基本的には納車期間が短いので、日常の移動をすぐにクルマに切り替えたいというニーズに応えられるのが中古車だったという事情もあるのかもしれません」
この部分を見ると、新型コロナウイルスは中古車業界にとっては結果的に追い風になったようにも思えます。しかし、別の自動車業界関係者は次のようにも指摘します。
「たしかに、コロナでクルマが見直されているのは事実だと思います。一方で、すべての中古車販売店に追い風だったとはいえません。
4月から5月にかけては中古車も販売台数が大きく落ち込んでおり、体力のない中古車販売店では資金繰りに苦労したことでしょう。
また、国内の中古車を海外へ輸出することを主事業としていた中古車販売店は、コロナの影響をうけて輸出が滞ったため、大きな打撃を受けているようです。
これらの中古車販売店は、当座の資金を確保するために、在庫車を相場より安く売らざるを得ませんでした。
結果として、ユーザーは割安に中古車を手に入れることができるようになったといえますが、販売店からすれば『売れたからよし』とはいえない状況だと思われます。
中古車は仕入れ価格や販売価格が不安定なため、新車ほど、販売台数と販売店の利益がシンクロしない傾向があります。
そのため、一見中古車の販売台数が増えているように見えても、すべての中古車販売店が儲かっているわけではないことは、理解しておかないといけません」
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世界中の人々に多大なる影響を与えている新型コロナウイルスは、国内の自動車事情にも無縁ではありません。
結果的に追い風となっている場合もあるようですが、業界全体としては先行きが見えない状態が続いているといえそうです。
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