なぜオモチャのようなクルマが1000万円オーバー? 欧米セレブ御用達の「ジョリー」とは

チンクエチェントベースのジョリーも、オリジナルは1000万円!?

 カロッツェリア・ギアの大ヒット作となった「ジョリー(Jolly)」は、前ページにも登場したもっとも有名なフィアット600ベースに加えて、同じフィアットでもひと回り小さなヌォーヴァ500だけではなく、少数ながらフランスのルノー4CVやフォルクスワーゲン・ビートルなどもベース車両として選択し、北イタリアのピエモンテ州トリノのギア工房にて一台一台ハンドメイドされた。

●1970 フィアット「ジョリー・カスタム(500 Rizza)」

チンクエチェントをベースとする「ジョリー」は、オリジナルは1000万円前後のプライスタグが付けられることも。写真はレプリカだが、それでも350万円以上で落札された(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's
チンクエチェントをベースとする「ジョリー」は、オリジナルは1000万円前後のプライスタグが付けられることも。写真はレプリカだが、それでも350万円以上で落札された(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 フィアット600やルノー4CVの「ジョリー」が、比較的余裕のあるボディサイズを利して、ビーチリゾートにおけるホテル送迎車やタクシーとしても活用されたのに対して、小さなチンクエチェントをベースとする「ジョリー」は、専らパーソナルユーズのビーチカーとして使用されることが多かったようだ。

 現在の国際クラシックカー市場では、同じフィアットでも600より500の方が人気/評価ともに高いようだが、ことギア・ジョリーについては600も500も大差なく、ともに日本円にして1000万円前後のプライスタグが付けられるのも、決して珍しいことではない。

 ただし、今回の「OPEN ROADS, FALL」オークションに出品された個体は、カロッツェリア・ギア製のオリジナル500ジョリーではなく、忠実に再現したレプリカ車である。

 イタリアの首都ローマに拠点を置くレストアショップ「リッツァ・クラシック(RizzaClassic)」社によってシリーズ製作されているカスタムモデル「500 Rizza」シリーズの1台として、スタンダードの「500ベルリーナ」を大改造したクルマとのことである。

 499cc空冷直列2気筒OHVエンジンや、4速マニュアルトランスミッションなどのメカニカルコンポーネンツはすべてオーバーホールされるとともに、「ジョリー」のアイコンであるタッセル(飾り房)つきファブリック製トップや籐製のシートなど、エクステリア/インテリアの仕立ても見事に再現されている。

 また1970年型のチンクエチェントをベースとしながらも、ジョリーが製作されていた時代の「ヌォーヴァ500」用のディテールで仕立てられ、フィアットとギアによる風変わりなビーチ&リゾートカーへの、カラフルかつ魅力的なオマージュとなっているのだ。

 カスタマイズを含めたレストア以来、オドメーターに表示される走行距離はわずか140kmにすぎないことからも分かるように、コンディションは新車にも等しいレベルにあるようだ。

 この「ジョリー」スタイルの500 Rizzaは、オークショネア側に支払われる手数料込みで3万4100ドル。日本円に換算すれば約353万円で落札されることになった。

 この落札価格は、同じレベルにレストアされたフィアット500よりもかなり高額であり、ジョリーの伝説が現在でもなお健在であることを示しているともいえるだろう。

 蛇足ながら、リッツァ・クラシック社の500 Rizzaは現在でも新規オーダーが可能で、とくに現在では電気自動車へのコンバージョンを前面にアピールしていることもお伝えしておこう。

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  1. ジョリーがライバル?

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