トヨタが提案する「新・移動手段」 eパレットは人だけでなく物流にも変革をもたらすか
話題の「Woven City」でもe-Paletteを展開!
「運用も素晴らしい!」。乗る人の人数を常時検知。たくさん運ばなければならないときは予備のeパレットをどんどん投入。運行間隔も調整して滞留しないような制御をおこなっている。
このあたり、トヨタが得意とする生産管理システム「かんばん方式」のノウハウが随所に活かされているように思う。
私の家の前の路線バスは渋滞や開かずの踏切を通過することもあり、時間通り運行されているほうが珍しい。
朝晩など同じ行き先のバスが3台続き、その後30分来ないことだって珍しくない。
運転手や車両の手配をフレキシブルに運用出来るeパレットに切り換えてくれたら、同じ間隔で同じような乗員の数になる。公共の交通手段として考えたら理想的に近い。
eパレットの使い方は人の移動に限らない。お祭りやイベントのときは商品などを搭載したeパレットを夜間に運行させ、朝になったら広場一杯にお店が出ているような状況になる。
eパレットを入れ替えるだけで次の日はまったく違う方向性のイベントとして使うということだって可能。eパレットを1台借りたら、毎日いろんな場所でお店が出せます。
もちろん宅配便に代表される物流は中心的な使われ方になるだろう。eパレットをたくさん共同管理することで、何時にでも何台でもリクエストに応じて運用することが出来るのだから素晴らしい。
日本の流通や移動手段を根本的に変えることが出来るかもしれない。トヨタはオリンピックの次はウーブンシティで試験運用するそう。
唯一の課題は犯罪者からどう守るか、だと思う。オリンピックの選手村での運航も、酔っ払った選手がeパレットの前に飛び出してきたら急停止する。
19km/hだと油断して乗っていたらケガします。公道で運用するとなれば、悪意を持ってイタズラする輩も少なからず出てくることだろう。
そういった状況をどうやって排除したらいいか、この手のモビリティにとって最大の課題です。
Writer: 国沢光宏
Yahooで検索すると最初に出てくる自動車評論家。新車レポートから上手な維持管理の方法まで、自動車関連を全てカバー。ベストカー、カートップ、エンジンなど自動車雑誌への寄稿や、ネットメディアを中心に活動をしている。2010年タイ国ラリー選手権シリーズチャンピオン。
国沢氏は個人ブログを運営しているが、当記事を紹介する直前の記事で、東名高速の追い越し車線を制限速度以下で走るドライバーに対し、"追い越し車線でケンカ売ってるクソタワケ共がいなくなったら120km/hでクルコンセットすると気持ちよ~い移動が出来ます。"と批難していた。
ところが未だ19km/hでしか走行できないe-Paletteに対しては、"明日にでも家の前の走る路線バスがeパレットになって欲しい。"と大絶賛している。
いずれも円滑な交通の阻害要因であるにもかかわらず、なぜ正反対の主張が可能なのか。忖度しないことを標榜している国沢氏なので、トヨタに忖度しているわけでないと信じたい。むしろ忖度ではなく意図的に極端な主張を繰り返しているのではなかろうか。結果として反発を生む反面、共感をも生んでいるに違いない。
要はカーマニアのマス層を狙うのではなく、極端な主張を行うことで、少数でも熱狂的な国沢ファンを開拓しようと企んでいるのではなかろうか。彼が自覚しているかどうかは分かりかねるが、自動車評論界のリーダーでもチャレンジャーでもフォロワーでもなく、ニッチャーを目指しているのであろう。自動車メーカーのニッチャーと言えばマツダである。副社長をブラックサタンと称し、企業イメージを悪の秘密結社であるかのように印象づけていると疑われてもおかしくないマツダと同様に、彼自身がニッチャー戦略を執っている様が皮肉に思えてならない。