「車のスマホ化」で愛車が乗っ取られる? 対策進むも永遠に「いたちごっこ」の懸念残るワケ
コネクティッドカーや自動運転車の時代が到来しつつあるなか、クルマがサイバーアタックを受けて乗っ取られるのでは、という懸念を持つ人も少なくありません。被害もすでにおきているといいますが、今後どのような対策がおこなわれるのでしょうか。
クルマが本格的にスマホ化する時代へ
コネクティッドカーや自動運転車の時代が到来しつつありますが、サイバーアタックに対する不安を持つ人も多いと思います。実際、2010年代の中頃からこれまで、サイバーアタックによるさまざまな被害が起きている状況で、今後どのような対策がおこなわれるのでしょうか。
これまでおこなわれた検証としては、ジープブランドのクルマを実験材料としてハンドル、アクセル、ブレーキが勝手に動き出す乗っ取り映像をハッカーが公開したのは記憶に新しいところでしょう(2015年8月アメリカ・ラスベガスのハッカー関連イベント)。
また近年では、ダイムラーが展開するカーシェア用の「スマート」100台が、専用アプリをハッキングされて盗難される(2019年4月アメリカ・シカゴ)といった驚きの事件も発生しています。
こうした市場の状況と今後の対策について、アメリカ半導体大手のインフィニオンは2020年12月中旬、サイバーセキュリティに特化したベンチャー企業のアップストリームを交えて、報道陣向けにオンライン説明会で詳しく解説しました。
それによると、近年の新車はスマホと同じように、SIM(サブスクライバー・アイデンディフィケ―ション・モジュール)を活用した通信システムを使うことが主流になっているといいます。
そうなると、これからのクルマはスマホと同じように、ソフトウェアのアップデートを自動でおこなう時代になります。この技術をOTA(オーバー・ザ・エア)といいます。
つまり、クルマについてもスマホやコンピュータなどのIT産業と同様に、今後は次世代通信規格5Gの普及もありソフトウェアの書き換えの利便性がさらに上がる半面、ハッキングなどのリスクが増えることになります。
インフィニオン関係者は個人的な意見として「クルマのOTAは走行中にデータを車載に貯め込み、クルマが停止した時にソフトウェアの実行についてシステムがドライバーに打診してくるやり方になるのではないか」と今後の動向を推測しました。
OTAについては、テスラが高度運転支援システム「オートパイロット」で導入し、自動車産業から大きな注目を集めました。
その他、トヨタ、ホンダ、メルセデス・ベンツ、BMW、ボルボなど大手メーカーもOTA採用をすでに実施、またはこれから実施する予定ですが、多くの場合が、カーナビなどインフォテイメント系の分野にとどまっているのが特徴です。
「走る・曲がる・止まるの分野でOTAを活用するのは、IT業界の過去実績を踏まえると、かなり大きなハードル」(インフィニオン関係者)と分析しています。
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