今もデートカーは健在? 昭和から令和の30年 恋人とのデートは時代で変わる?
かつて、バブル期にはクルマを持つことがステータスとされ、若者の間で「デートカー」と呼ばれるクルマが人気を集めた時代がありました。いまでは耳にする機会が減った言葉ですが、古今の若者間ではデートカーの意義は変化したのでしょうか。
令和の現在、デートカーは存在しているのか?
約30年前の昭和末期から平成初期に掛けて日本はバブルの真っ只中でした。
当時は、デートの際にクルマはマストアイテムとされ、「クルマを持っているだけでもモテた」という話もあるほどです。
しかし、現代では娯楽が多様化したことで「若者のクルマ離れ」が叫ばれていますが、最近の「デートカー」とはどのようなクルマを指すのでしょうか。
かつてデートカーといわれたクルマは、1970年代に登場したスタイリッシュな外観を持つ2ドアクーペを指すといわれ、当時の若者に圧倒的な人気がありました。
なかでも、日産「シルビア」、ホンダ「プレリュード」、トヨタ「ソアラ」の3車種は代表的なモデルで、現在でもそれぞれの逸話が語り継がれています。
シルビアは、現在こそ走り屋御用達のイメージが強いモデルですが、初代モデルは、日産のスペシャリティカーとして1965年に登場。
そのなかで、デートカーとして人気があったのは、1988年に発売された5代目シルビア(S13型)です。
5代目シルビアは、低いスタイリングやシャープなデザインなどから、当時デートカーとして人気の高かったプレリュードの販売台数を上回る約30万台を販売し、歴代シルビアのなかでも圧倒的な人気を誇りました。
対するプレリュードは1982年に発売された2代目(AB/BA型)、1987年に発売された3代目(BA4/BA5/BA7型)がデートカーとして人気があったといいます。
特徴的な装備として「リトラクタブルヘッドライト」を採用。さらに、クルマ全体がスタイリッシュなデザインだったことから、女性人気も高かったようです。
また、内装では普通のクルマなら助手席のリクライニングレバーは、乗り降りするドア側に配置されますが、プレリュードでは運転席側にも配置。これにより、「運転席から助手席を倒せる」と当時話題になったといい、この機能だけでプレリュードの購入を決めた人もいます。
一方で、トヨタから登場したソアラは、1981年に登場しました。デートカーとして人気があったのは、1981年に発売された初代(Z10型)、1986年に発売された2代目(Z20型)です。
デートカーとしてソアラを象徴する出来事として、当時は「ソアラに乗っていれば、女子大生から乗せてほしいといわれることがあった」というものがあります。
男女どちらにとっても、デートカーといえばソアラと称されるほどの人気があったようです。
デートカー全盛期に日産の販売店に努めていた元スタッフは、次のように話します。
「当時は、クルマがモテるための必須アイテムだったこともあり、独身男性が来店した際には会話のなかでデートカーという言葉は頻繁に出ていたように思えます。
また、シルビア(S13)にはコンバーチブルタイプも設定されており、標準モデルよりも高価格なコンバーチブルを何台か販売した記憶もあります」
一方で、最近のデートカー事情について、トヨタ販売店の若手スタッフは以下のように話します。
「自分の親世代でデートカーという言葉が流行っていたのは知っていますが、最近では滅多に使わないと思います。
そうしたなかで、トヨタではコンパクトハイトワゴンの『ルーミー』が若い人から支持されていると思います。
以前まではルーミーとタンクで分かれていましたが、2020年9月に統合され、ルーミーのなかにタンク顔が設定されました。
デザイン的にはルーミー顔のほうがギラついていて、男性からはそちらのほうが好まれている印象です」
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デートカーという言葉自体が最近では聞かなくなりましたが、ドライブデートは現在でも人気のデート手段です。
大手レンタカー業者のスタッフは「カップルでクルマを借りに来られるお客さまは依然として多くいらっしゃいます。とくに軽自動車やコンパクトカーなど扱いやすいモデルが多く借りられています」と説明します。
かつては、クルマを所有することもひとつのモテるポイントでしたが、最近ではレンタカーやカーシェアリングで簡単に借りることが可能なため、クルマを所有するというニーズは減ったものの、恋人とのドライブデートというニーズはいつの時代も変わらないようです。
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