水没車と知らず購入、取り消しは可能? 豪雨多発で20万台も水害に 虚偽販売の対処方法とは

近年、水害被害の増加により「冠水車(水没車)」に関するトラブルが増加傾向にあるといいます。そうしたなかで、冠水車であることを隠して中古車を販売した販売店と消費者とのトラブルが新聞やテレビで取り上げられるなど、冠水車の虚偽販売は社会問題化となっています。では、冠水車と知らずに契約した場合、契約の取り消しは可能なのでしょうか。

2019年の台風19号で被害を受けた冠水車は約20万台!

 2020年2月、岐阜県岐阜市の中古車販売店で中古車を購入した際に、購入代金を支払ったものの、その後納車されず、結果的にその中古車自体が水没車だという詐欺事件が発生しました。
 
 このように、「購入したクルマが実は水没車だった…」という事案は少なくないといい、近年多発する水害で冠水したクルマが中古車販売店で何事もなく販売されていることがあるようです。
 
 では、自分の購入した中古車が水害に遭っていたらどうすればいいのでしょうか。

泥水をかぶり大きなダメージを受けたSUV
泥水をかぶり大きなダメージを受けたSUV

 近年、台風による豪雨や高潮などによって冠水被害に遭うクルマが急増しています。

 事故車や冠水車などの「損害車両」を専門に買い取っている株式会社タウの調べによると、2018年7月の西日本を中心とする豪雨(前線及び台風第7号による大雨など)では約7万台、2019年10月は台風19号による被害だけで約20万台もの冠水車が発生したといいます。

 また、2020年7月に九州南部を中心に襲った大雨では、九州全域で約2万2000台の冠水車が発生し、同社ではそのうち3500台を買い取ったようです。

 2019年台風19号だけで20万台もの水没車が発生したことには非常に驚きますが、これらの水没車はいったいどこへ行くのでしょうか。

 買い取りをしたその後を、株式会社タウ広報部に聞いてみました。

「室内にまで浸水しエンジンがからないクルマは修理に100万円以上かかる場合もあり、ディーラーなどでは値段が付かない場合もあります。

 弊社では、冠水車(水没車)や事故車であることを明示し、カー・トリアージの概念に基づいて『再生車』『スペアパーツ』『鉄資源』の3つの方法でリユース・リサイクルをしています。

 再生車として販売する場合は20枚以上の画像と共に弊社のウェブオークションに情報を出しています。

 海外で人気の車種もあり、またパーツとして使えるものもありますので、日本国内では価値が無いとされている冠水車も世界の国々の中には旺盛な需要が存在するケースもあります」

※ ※ ※

 ところで、「冠水車」とは、どのような状態のクルマのことを言うのでしょうか。

 一般財団法人日本自動車査定協会が示す「冠水車」の定義は、「集中豪雨や洪水などにより、室内フロア以上に浸水したもの、または、その痕跡により商品価値の下落が見込まれるもの」としています。

 具体的には通常の使用では発生しないさびや腐食が以下の場所にあることが挙げられます。

 ●シートのスライドレール、スプリング、レールの取付けボルト
 ●ペダル類のブラケット、リターンスプリング
 ●ステアリングポスト付近
 ●センターコンソール取付けボルト
 ●ドアトリムボードの金属部分(確認には内張り取り外しが必要)
 ●シートベルト取付けボルト
 ●フロア(確認にはリヤシート取り外しが必要)
 ●ワイヤーハーネスのコネクタ
 ●シガーライター

 このほか、通常の使用では付着しない汚れ・シミとしてドロ水が乾いて粉末状になった汚れや、シートベルトや内張りなどに浸水の痕がある場合、室内やエアコン作動時にドロやカビのにおいがする場合も冠水車として扱われます。

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