1500万円もするケロヨン号! 大人のおもちゃ「バブルカー」5選
お安くなっても1500万円オーバーもするバブルカーとは?
●1958 メッサーシュミット「KR 201ロードスター」
今回「THE ELKHART COLLECTION」には、メッサーシュミットKR200のロードスター版「KR201」も出品されていた。
タンデム(前後一名ずつ)に座る乗員から見ると、右側に開いて車内にアクセスする、プレクシグラス製の透明バブルトップ(ソフトトップに交換も可能らしい)を廃し、ドアもいさぎよく廃された。
そして、まるでフォーミュラカーのごとくスポーティな雰囲気を醸し出すことから、当時のメッサーシュミット社や現在に至るファンの間では「スポーツカー」と位置づけられてきたようだ。
RMサザビーズ社のWEBカタログでは「Nicely restored condition throughout(全体的に好ましくレストアされたコンディション)」と謳われるこのKR201ロードスターに設定されたエスティメートは、5万ー7万5000ドル。
スタンダードのキャビンがついた「KR200」よりも、生産数/残存数ともに非常に少ないことから、かなり高めの予想がなされていたのだが、実際の競売では手数料込みの5万3200ドル、日本円に換算すると約550万円という、希少価値とコンディションの良さを裏づける結果となった。
●1960 F.M.R.「Tg500タイガー」
1956年から航空機生産再開を許されたメッサーシュミット社は、キャビンスクーター部門をフリッツ・フェンドらに事実上譲渡し、新たに発足した「F.M.R」社に移行。「Tg500タイガー」は、F.M.R.ブランドで1958年に登場した四輪モデルだった。
本来シティコミューターとして生を受けながらも、結果としてスポーツカー的なキャラも帯びることになったメッサーシュミットKRの性格を、独ザックス社製494cc空冷2サイクル直列2気筒エンジンを搭載することにより、一段と強めた。
最高出力19.5hp/5000rpm、最大トルクは33Nmを発生し、トランスミッションは4速マニュアル。車両重量350kgで、最高速度130km/hに達したという。
KR175/200系では後退時にはエンジンをいったん停めて、逆回転で始動させてリバースしていたのだが、4輪のタイガーでは通常のリバースギアが初めて組み込まれた。
生産期間は3年ほどで、その間に作られたのは320台のみ(ほかに諸説あり)。つまり、超絶的なレア車である。
かつて3輪のメッサーシュミットKRが200ー300万円で入手できた時代には、タイガーは概ねその2倍。500万円オーバーで取り引きされていたと記憶しているのだが、2010年代以降にアメリカを中心に巻き起こり、欧州や日本にも波及した「バブルカー・バブル」を象徴するかのように、2000万円越えの販売事例が続出してきた。
ただ、新型コロナ禍以降、少々不安定となっているクラシックカーマーケット市況を鑑みてだろうか、RMサザビーズ社ではエスティメートを15万ドルー25万ドルという、かなり幅のある設定をおこなっていた。
ところが当時の競売では、リザーヴ(最低落札価格)が設定されない「100% SELL THROUGH(全車売り切り)」だったため、こちらもエスティメートを割りこむ14万5600ドル(邦貨換算約1520万円)で落札されることになったのだ。
オークションカタログでコンディションを見る限りでは、かなりのお買い得とも見受けられてしまうが、その一方でこのクルマを頂点とする「バブルカー・バブル」にも、ようやくの終息傾向が見られるようになったとも考えられよう。
遥か昔、子供の頃にイセッタやメッサーシュミットのブリキのオモチャを買ってもらった記憶がある、子供心にも「変なジドウシャ」て思ったよ。
この車たちは何のために作られたの?
日本のミゼットやオート三輪と、同じで、敗戦国として軍事転用出来ないように連合国はこんなシロモノしか生産許可しなかったのかな?