クラシック・ランドローバーが2500万円!! 高値の理由は「リボーン」にあり
ヤングタイマーでもディフェンダー人気は健在!
●1963 ランドローバー「シリーズ IIA ピックアップ」
1958年に登場したランドローバー「シリーズII」は、初代以来のデザインを踏襲しながらも、若干の丸みを帯びたフェンダーや、それまでは省略されていたサイドスカートなど、のちのディフェンダーにも継承されるディテールが初登場することになった。
もともとショート80インチ/ロング107インチでスタートしたホイールベースは、ショート88インチ/ロング109インチとされた。
搭載されるガソリンエンジンは、「ローバーP4」と共通の2.3リッターに拡大されたほか、1961年にはディーゼル版の排気量も拡大されるなど、メカニズムにも細かい進化が施されたという。
そしてシリーズIIとしての誕生から3年後にあたる1961年には、小改良版たる「シリーズIIA」へと進化し、「シリーズIII」への代替わりを果たす1971年まで生産された。
今回のRMサザビーズ「THE ELKHART COLLECTION」オークションに出品されたのは、1963年モデルの109にトラックボディを組み合わせた「ピックアップ」である。近年の国際マーケットに現れるランドローバーらしく、大規模なレストアが施された1台だった。
総アルミ製ボディには亜鉛メッキが施され、ディフェンダーとなる以前の時代のランドローバーが弱点としていた、アルミ合金製パネルの腐食を防いでいる。
また、1989年から初代「ディスカバリー」に搭載され、1993年以降はディフェンダーでも標準エンジンとなった「200Tdi」ターボディーゼルエンジンをコンバートするなど、極めて趣味の良い「レストモッド」としての評価が下されて然るべき個体だったようだ。
このランドローバー109ピックアップに、RMサザビーズ社と破産管財人が協議の上で設定したエスティメート(推定落札価格)は6万ー7万5000ドル。
そして実際の競売では、エスティメートの上限を凌駕する7万7280ドル、日本円に換算すると約810万円で無事落札と相成った。
見た目は古き良き1960年代のランドローバー。でも、中身はデイリーユーズ(ただしアメリカでの……)にも充分に供することのできるディフェンダーに限りなく近いことを思えば、こちらもきわめて順当というべきオークション結果になったといえるだろう。
●1993 ランドローバー「NASディフェンダー110」
RMサザビーズ「THE ELKHART COLLECTION」オークションに出品された、ほかの2台のランドローバーが、純然たるクラシック時代の「ランドローバー」であるのに対して、こちらは1990年代の「ディフェンダー」である。
2017年をもって生産を終えた今となってもアイコン的な人気を誇る一方で、1990年代の生産車両については「ヤングタイマー・クラシック」としても高い支持を得ている。
ランドローバー・ディフェンダーは、1990年に第3のランドローバー「ディスカバリー」が登場したことにより、新たにペットネームが授与されたものである。
各モデルはインチ単位のホイールベースが名称に追加され、それぞれディフェンダー90(ショート)/ディフェンダー110(ロング)/ディフェンダー130(トラック用のスーパーロング)となり、心臓部は初めてターボ化された4気筒ディーゼルエンジンがメインとされた。
そして、旧き良きローバー製V型8気筒エンジンは、北米・日本などの輸出向けや、時おり追加設定される限定車にのみ搭載されることになった。
今回「THE ELKHART COLLECTION」オークションに出品されたディフェンダー110は「NAS」の通称名で知られる北米仕様。もとをただせばGMビュイック由来で、アメリカ人が愛してやまないV8 OHVエンジンが組み合わされている。
NASディフェンダー110のV8モデルは500台のみの限定生産で、この個体はノースカロライナ州シャーロットのランドローバー正規ディーラーからデリバリーされたシリアルナンバー112とのこと。走行距離は3万7000マイル(約6万km)未満で、公式WEBカタログを見る限りでは、新車同様のコンディションを保っている。
そしてRMサザビーズ社と破産管財人が、このNASディフェンダーに設定したエスティメート(推定落札価格)は、5万ー7万5000ドルという、なかなか強気ともとれるものだった。
ところが、いざ競売が始まってみると価格はどんどん上昇し、終わってみればこちらもエスティメート上限を5万ドル近くも上回る12万3200ドル、邦貨に換算すれば約1300万円という驚きの価格で落札されることになったのだ。
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