新型「ノート」は売れない理由がない! 日産の主力コンパクトカーが超絶進化!

e-POWERが第2世代へ進化! より滑らかになった!

 新型ノートのパワートレインはガソリン車が姿を消し、全車「e-POWER」の展開です。1.2リッター直列3気筒エンジンで発電した電気を用いてモーターで駆動するという基本原理は共通ですが、e-POWERは第2世代へと進化しています。

3代目となる日産新型「ノート」
3代目となる日産新型「ノート」

 まず「さらなる力強さ」のために発電用エンジンの出力アップ&燃費向上、一体型のインバーターは40%小型化&33%軽量化、モーターは出力向上(80kW/254Nm→85kW/280Nm)、高剛性構造やマウント類の最適化など、変更箇所は多岐に渡ります。

 続いて「さらなる滑らかさ」のために、制御の高度化がおこなわれています。

 具体的にはワンペダルドライブでアクセルOFFにした際の減速Gの変化を滑らかにすることで不快の動きの抑制や、停車時/駐車時にクリープ走行を可能にすることで、いままで以上にスムーズな速度コントロールを可能にしました。

 先代は内燃機関とは違う新しい走りの感覚が特徴でしたが、新型はそれを継承しながらも人間の感性にあった自然かつシームレスな制御を手に入れたというわけです。

 そして「さらなる静かさ」は、車体の遮音性向上と共に世界初となる「路面状況に応じた発電制御」を採用しています。

 これは回転変動をセンシングし、ロードノイズが大きいと判断すると早めに発電。逆に滑らかな路面で発電頻度下げるという制御を実施。

 さらに先代はバッテリーを減らさないために常にエンジン発電としていましたが、新型は充電量に応じた発電制御の採用で、本当に必要なときしかエンジンを作動させないようになっています。

 従来モデルはエンジンが始動するとEV走行とのギャップに興ざめしましたが、新型はもう大丈夫でしょう。

 4WDモデルも大きく進化しています。先代と同じくリアモーターを駆動させる電動4WDですが、先代はモーター出力3.5kWと小さく発進アシストのみだったのに対して、新型は50kWと大幅に出力向上。

 これにより全車速で4輪駆動を実現し、力強い加速や安定した減速はもちろん、メカニカルな4WDと違って駆動力配分が自在に変更できるのでハンドリングも期待できるでしょう。

 そんなパワートレインを搭載するプラットフォームは全面刷新されました。

 日産は「次世代小型車向けプラットフォーム」と呼んでいますが、ルノーの新型「ルーテシア」も採用する「CMF-B」でしょう。

 先代のVプラットフォームに対し高強度・高剛性(ボディ剛性30%アップ)、遮音構造最適化による静粛性向上、更に高性能・高剛性サスペンション(フロント:ストラット/リア:トーションビーム、剛性10%アップ)や高剛性ステアリング(剛性90%アップ)などの採用により、基本素性を劇的にレベルアップ。

 ただし、軽量化も頑張っており車両重量は先代並みに抑えられています。

 その走りはノーマルでも先代モデルのNISMOを遥かに超える応答性/ハンドリングと先代以上の快適性を両立させていると思います。

 また、コンパクトカーに大事な扱いやすさも抜かりなしで、ステアリングのクイック化/操作力の低減や最小回転半径4.9m(先代は5.2m)などにより、取り回しの良さはクラストップレベルです。

 そして、先進安全装備も充実しました。「プロパイロット」は国内の日産車初となるナビゲーション連携式を採用しており、地図情報から予めカーブやジャンクションの大きさを把握して車速をコントロール。より確実、よりスムーズなステアリング支援が可能になっています。

 また、新たにインテリジェントFCW(前方衝突予測警報)、アダプティブLEDヘッドライト、インテリジェントDA(ふらつき警報)、標識検知、BSW、インテリジェントBSI(後側方衝突防止支援システム)、RCTA(後退時シャア両検知警報)、エマージェンシーストップシグナルなどの採用などにより、上級モデルと同じ「360°セーフティ」を実現しています。

 このようにすべてが刷新された新型ノートですが、最後の最後に驚かされたのは価格設定です。

 202万9500円から218万68000円は、実質値下げともいってもいいかもしれません。

※ ※ ※

 新型ノートは、「やったぜ日産!」という一台であり、現時点で売れない理由は見つかりません。

 先代は3年連続コンパクトカー販売台数ナンバー1を獲得しましたが、新型はその記録を更新できる実力を持っているといっていいと思います。

 今後、トヨタ「ヤリス」やホンダ「フィット」とのBセグメントハッチバックの戦いはより激化しそうな予感がしています。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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