「修復歴アリ」の中古車が安いのには理由がある!? 修復歴車の境界線とは
修復歴アリ車のチェックポイントは?
高額なスポーツカーなどで修復歴アリになると、ナシの車両よりも数十万円もやすくなるケースもあるため、つい手を出しそうになりがちです。
修復歴アリのクルマかどうか、また、修復歴アリのクルマを購入する場合は、どこをチェックすべきなのでしょうか。
数多くの修復歴アリクルマを整備・修理してきた整備工場に勤務している整備士S氏に、注意点やチェックポイントなどを聞いてみました。
「経年劣化している中古車で、さらに修復歴アリのクルマは、よほど注意しないと後悔することもあります。できれば修復歴ナシの中古車を購入するほうが安心ですが、それでも人気車をできるだけ安く買いたい人は、購入前に現車を細かくチェックすることが必要です」
チェックするといっても、外装はともかく、クルマの内部はなかなか見ることができません。
すべてチェックできないのが残念ではありますが、それでもどこをどのように修復したのかを知ることはできそうです。
「クルマは基本的に左右対称に作られています。見た目のバランスがおかしかったり、ドアの開け閉めに違和感がある場合は、しっかり修復できていないケースもあります」(整備士S氏)
S氏が実際に修理したケースで、修復歴アリの中古のスポーツカーで事故を起こし、車両の状況を確認したところ、購入以前の修復で左のサイドメンバーのフロント部分の亀裂が修復されていなかったことがあったといいます。
見えるところだけは修復されていたものの、内部は歪んだフレームが切りっぱなし、溶接すべき場所も溶接されていないなど、素人では見えない部分に手が加えられていなかったとのことです。
それが原因でクルマのコントロールが効かなくなり、事故を引き起こした可能性もあり得るのだそうです。
「スポーツカーの場合はとくにしっかり直していないと、スポーツ走行でハンドルが左右に取られたり、突然挙動が変わることもあります。しっかり修復されていないと命に関わることもあるので、修復歴ナシのクルマを選んだほうが安全です」(整備士S氏)
修復歴の有無は、ボンネットやトランク、ドアの開口部などから見えるフレームに塗り直した跡がないか、ネジの締め直した跡がないか、ドアのチリ(隙間)が一定かなどである程度判断できるそうです。
「フレームが歪んでいると、そのあとの修理で新品のパーツが装着できないケースもあります。そのため、タワーバーなど後付けパーツ装着のためにネジ山が傷付いたのか、それとも補修のために傷がついたのかを判断するのは非常に難しいです」(整備士S氏)
では、修復歴アリの中古車は、絶対に買ってはいけないのでしょうか。
「必ずしも全部がダメというわけではないと思います。試乗しても違和感がなく、あまり高速やスポーツ走行などをしないのであれば、安く買えるのは魅力でしょう。
ただ、スポーツカーでスポーツ走行したり、SUVでオフロードを走るなど、通常の走行以上の力が加わるような走り方をする機会がある場合は、避けたほうがいいです」(整備士S氏)
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最近ではインターネットを通じて、現車を確認せずに中古車を購入するケースも増えています。とくにオークションでの個人売買では、売り手の言葉を信じるしかありません。
それでも修復歴アリの中古車を購入したいと思うなら、クルマに詳しい友人や知り合いと現車を確認するのもひとつの手です。
購入前だと欠点や問題点を軽視してしまう傾向があり、そんなときに指摘してくれる人がいるのといないでは、そのあとの展開が大きく変わってきます。
安く買えるのが魅力の修復歴アリの中古車ですが、掘り出し物を手に入れるためには、いつも以上の観察力と注意を払って現車をチェックしましょう。
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