「修復歴アリ」の中古車が安いのには理由がある!? 修復歴車の境界線とは

同じ車種の中古車であっても、「修復歴アリ」のクルマは価格が安く設定されています。どこまで修理したら修復歴アリになるのでしょうか。修復歴アリの中古車を購入する場合の注意点やチェックポイントを整備士に聞いてみました。

「修復歴」アリ/ナシの境界線はどこに?

 中古車は、新車よりも安い価格で購入できることや、すでに新車として販売終了となったクルマが購入出来るのが魅力です。中古車を購入するときに中古車サイトなどをチェックしていると、グレードや年式、走行距離といった情報のなかに、「修復歴」という項目があります。

 修復歴には「アリ」と「ナシ」が存在しますが、「修復歴アリ」のクルマが「ナシ」のクルマよりも安いのはなぜなのでしょうか。

修復歴のアリ/ナシの境界線はどこに?
修復歴のアリ/ナシの境界線はどこに?

 修復歴アリ(修復する必要があった)クルマは、そのぶん資産価値が低くなり、年式や走行距離はもとより、安い価格でないと買ってもらえないために安めの中古車価格になる、ということです。

「日本自動車査定協会」のサイトには、修復歴アリの定義が以下のように記載されています。

●修復歴車の定義

「統一基準として修復歴車と定義されるのは、骨格(フレーム)部位などを交換したり、あるいは修復(修正・補修)したもの」

 つまり、事故や災害などでフレームの一部を交換や修正する必要があるほどの修復が必要だったクルマということです。

 現在のクルマのほとんどは、軽量化と高剛性、安全性を高次元で実現させるために、モノコック構造のフレームを採用しています。

 車体を軽くするために高張力剛板をブロック別に加工し、各部をしっかり溶接することで出来上がるモノコック構造ボディですが、最近の衝撃吸収安全ボディは、エンジンが入るフロント部分やトランクなどがあるリア部分を潰れやすくすることで、外部からの衝撃をより吸収して乗員の安全を確保する構造になっています。

 ただしフレームの前後が潰れるだけでなく、この衝撃自体をフレーム全体で受け止めることでさらに乗員を守る構造になっているので、強い衝撃が加わるとボディ全体にその影響が及んでしまうというわけです。

 そして修復歴は、以下の箇所を交換や補修することを指しています。

「フレーム(サイドメンバー)」(前後に貫かれた左右2本の厚い剛板製レール)
「クロスメンバー」(剛性や強度を向上のために横方向に設置される梁のような剛板)
「インサイドパネル」(エンジンを守る左右フェンダーの内側部分)
「ピラー」(ボディとルーフをつなぐ柱の部分。前からA、B、Cと呼ばれる)
「ダッシュピーラー」(エンジンルームと車内を隔てる隔壁板)
「ルーフパネル」(ルーフ部分を構成する外板部分)
「フロア」(車内の床に当たる外板部分)
「トランクフロア」(トランクと車内を隔てる隔壁板)

 ほかにも、「ラジエーターコアサポート」(ラジエーターやヘッドライトが取り付けられているクロスメンバーの一種)なども、交換や修正された場合は修復歴アリになります。

 こうしてみると、クルマのなかでもかなり重要なパーツに影響が出るほどの衝撃を受けて交換や修理・補修されて修復歴アリになるのです。

 単なるケアレスミスによる軽微な修理は、修復歴アリにはなりません。

 また、たとえばフェンダーが大きくへこんだり、リアバンパーが潰れてしまっても、フレームに支障がなければ修復歴にはカウントされないことになっています。

【画像】「修復歴アリ」になる境界線はどこにある?(13枚)

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