トヨタ「アルヴェル」は8倍!? 姉妹車で「売れる・売れない」差が付く訳

トヨタの高級ミニバン「アルファード」が好調な売り上げを記録する一方、姉妹車の「ヴェルファイア」は販売が低下し、8倍もの差がついています。同じトヨタ車でも、これほどの差が生じるのはなぜなのでしょうか。

なぜアルヴェルは8倍もの差が付いたのか?

 背の高いボディに3列のシートを装着するミニバンは、1990年代の中盤から車種を充実させ、人気のカテゴリになりました。
 
 輸入車メーカーのスタッフが日本を訪れると「なぜ日本にはここまでミニバンが多いのか」と不思議がるそうです。

8倍もの販売差が付いたトヨタ「アルファード」「ヴェルファイア」
8倍もの販売差が付いたトヨタ「アルファード」「ヴェルファイア」

 それでも、最近のミニバンの売れ方は、以前と違っています。もっとも顕著なのは、全高を1700mm以下に抑えたワゴン風のミニバンが廃止されたことでしょう。

 かつてトヨタでは「ウィッシュ」や「アイシス」、日産は「ラフェスタ/ラフェスタハイウェイスター」、マツダは「プレマシー」、ホンダは「ストリーム」、スバルは「エクシーガ」というように、背の低いミニバンを用意していました。これらの車種は、2010年代に入ると次々と販売を終えています。

 その背景にあるのは、ミニバンを選ぶ人達の意識変化です。

 2000年代にはセダンやハッチバックからミニバンに初めて乗り替えるユーザーが多く、日産「セレナ」のような全高が1800mm以上の車種は敬遠される傾向もありました。そこで全高を1700mm以下に設定したワゴン風の車種も相応に売れたのです。

 ところが2010年代の中盤になると、ミニバンを初めて買うユーザーは次第に減り、目新しさも薄れました。

 購入するのは多人数乗車や荷物の積載といった目的のある人達に限られ、ワゴン風のミニバンは機能が中途半端と受け取られて売れ行きを落とします。

 その結果、背の低いミニバンは廃止され、現在売られているのは、ほぼすべてがスライドドアを備えた背の高い車種です。

 そしていまでは、背の高いミニバン同士でも販売格差が広がりました。とくに同じメーカーが用意するミニバンの間で、売れ行きに差が付いているのですが、それはなぜなのでしょうか。

 トヨタの場合、高級ミニバンの「アルファード」は、2020年の9月と10月に1万台以上が登録されました。ところが姉妹車の「ヴェルファイア」は1270台前後です。

 以前はヴェルファイアが多く売れましたが、2017年に現行モデルのマイナーチェンジでアルファードがフロントマスクを派手に変更して、順位を逆転させました。

 さらに2020年5月以降は、トヨタの全店が全車を扱うようになり、従来はアルファード&ヴェルファイアを販売していなかったトヨタ店とトヨタカローラ店でも、アルファードが売れ始めました。

 そればかりか長年にわたりヴェルファイアを扱ってきたネッツトヨタ店でも、アルファードへの乗り替えが始まり、姉妹車の販売格差が8倍まで広がったのです。

 フロントマスクの違いが売れ行きに大差を付けるのですから、クルマは嗜好品的な性格が強い商品だといえます。自動車ビジネスの危うさ、難しさを感じます。

 トヨタでは、ミドルサイズのミニバンでも販売格差が広がりました。

 2020年10月の登録台数は、「ヴォクシー」が6258台、「ノア」が4696台、「エスクァイア」が1643台となり、ヴォクシーとエスクァイアの間には、約4倍の開きがあります。

 2018年と2019年の9月もヴォクシーが好調に売れましたが、販売格差は約2倍でした。全店で全車を売る体制に移行した結果、4倍に広がっています。

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