「ながら運転」OK? ホンダが年内に出す「自動運転レベル3」車は何が凄いのか

レベル3の自動運転で想定される今後の問題点とは

 さて、ホンダのトラフィック・ジャム・パイロットですが、技術面について詳細はまだ公開されていません。

世界初の自動運転レベル3装置を搭載することになったホンダ「レジェンド」(写真は現行モデル)
世界初の自動運転レベル3装置を搭載することになったホンダ「レジェンド」(写真は現行モデル)

 ただし、2019年7月にホンダが一部報道関係者向けにおこなった次世代技術説明会「ホンダミーティング」(於:埼玉県和光市)で、ホンダ幹部はレベル3自動運転に関する技術を紹介しました。

 それによると、量産初期に想定している走行環境条件は「高速道路での渋滞時」としていました。

 今回発表されたシステム名に含まれる「トラフィック・ジャム」とは渋滞を意味するため、GPSや高精度三次元地図などによる位置情報や、ETCとの連携によって、高速道路を走行していることを判断するのだと思われます。

 渋滞時と判断する走行速度ですが、現状では自動車技術会など業界団体での定めた速度はありません。

 そうしたなかで、例えばスバルが新型「レヴォーグ」に搭載した「アイサイトX」のレベル2・ハンズフリーも高速道路での渋滞時を想定しています。スバルによると、設定速度は「時速55km以下」ということです。

 ホンダのトラフィック・ジャム・パイロットもこれに近い速度域で、こちらはレベル3になると考えられます。

 最後に、自動運転レベル3における大きな問題点を指摘したいと思います。それが、「法定速度の順守」による、レベル3以下の車両との混走の難しさです。

 レベル2までは、アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)の設定速度は、あくまでも運転者が決めるものであり、法定速度以上でも設定は可能です。

 一方、レベル3の場合、GPSや高精度三次元地図による位置情報、またカメラによる標識認識により法定速度を認識し、法定速度を守って走行します。

 周知の通り、高速道路でも一般路でも、実際の交通流である実勢速度と法定速度には開きがあります。場所によっては、その開きが大きい場合もあります。

 そうしたなかで、レベル3で走行すると、まるで低速走行車のようなイメージになってしまい、状況によっては危険な場面に遭遇するかもしれません。

 そのため、ホンダとしては、まずは渋滞時という走行環境条件を設定したと考えられます。

 今後、レベル3の走行環境条件での速度設定を上げる場合、周囲のクルマにもスピードリミッターをかけるなどの議論も必要になってくるかもしれません。

ホンダ・レジェンド のカタログ情報を見る

【画像】ホンダが世界初の快挙! 搭載される「レジェンド」を画像で見る(23枚)

まさか自分のクルマが… 高級外車のような超高音質にできるとっておきの方法を見る!

画像ギャラリー

Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。

1 2

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

1件のコメント

  1. 例えばですが、レベル3以上の動作環境条件を満たして、レベル3で車が動いて居るときに事故が起きると、その事故を起こした責任は、まさか車の製造会社は負えないと思います。とするなら当然に運転席に居る者が負うしか無いですよね?。
    負うしか無いとするなら、そもそもレベル3とかの存在する意味が疑問視されると思うのですが、どうでしょうか?。

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー