なぜジムニー人気続く? 10代女子「ゴツくて可愛い」 80年代ブームが背景にあり
2018年7月に20年ぶりのフルモデルチェンジを遂げた「ジムニー/ジムニーシエラ」ですが、現在でも1年ほどの納車待ちが続いているといいます。人気の背景には、「80年代ブーム」や「アウトドアブーム」、「スタイリング重視の女子人気」といった要因が複雑に絡んでいるようです。
ジムニーは世代を超えて人気? いまや「ジムニー女子」という言葉誕生!
登場から約2年経った現在でも長期にわたる納車待ちが続いているのが、スズキ「ジムニー/ジムニーシエラ」です。
2018年7月に発売されて以降、常にジムニーはバックオーダーを抱える状態。ユーザーは発注から納車まで1年以上待つのが当たり前の状態ですが、それでも注文する人が後を絶ちません。
東京都内と大阪府内のディーラーで納期を調べたところ、ジムニーが関東で10か月から11か月、関西で7か月から8か月。ジムニーシエラは関東で9か月、関西で7か月から8か月とアナウンスされているようです。ちなみに、ツートンカラーの発注した場合は1年以上かかることもあるといいます。
登録台数を見てみると、2020年1月から10月までの登録総台数は、3万238台。4月度は、コロナ禍の影響によって生産現場が滞ったために、1231台と伸び悩みましたが、その後は月販3000台以上に戻し、9月以降は月販4000台以上を記録する勢いとなっています。
なぜジムニー人気は、ここまで加熱するのでしょうか。ジムニー人気のもっとも大きなファクターは、見ればひと目で分かるあのデザインやパッケージにほかなりません。
ここ数年のキャンプ、登山といったアウトドアレジャーの人気上昇により、いわゆるラギッドな雰囲気を持つモノが併せて人気となっています。
さらに、「1980年代への回帰」というのもキーワードになっています。例えば、2020年発売直後からジムニーと同じバックオーダー状態になっているホンダ「CT125ハンターカブ」は、1980年代に登場した「CT110」というモデルをモチーフにしたオフロードタイプのオートバイです。
さらにセイコーは、1980年代に発売したダイバーズウォッチを、次々と現代に復刻させています。
現行型ジムニーもまた、1980年代に登場した2代目をフィーチャーしたデザインとなっており、人気商品には“ラギット+80年代”という方程式が成り立つようです。
こうした傾向は特別なものではないと、ジムニーのカスタムを手がけ、自らも工業デザイナーだった経験を持つアピオ株式会社代表の河野仁氏は次のように話します。
「ユーザーは、モデルチェンジごとにコロコロとデザインを変えるクルマにはもう飽きてしまっていると思います。
気がつけば愛車が古くなってしまっているよりも、古くなればなるほど優越感にひたれるほうがいいに決まっています。
いま市場でそういうオフロード4WDというのは、メルセデス・ベンツ『Gクラス』、トヨタ『ランドクルーザー70』、ジープ「ラングラー」で、どれも基本デザインが何年何十年と変わりません。
しかし、それは性能上で必要だからそういうカタチになったわけで、狙ってそういうカタチになっているわけではないからです。
現代は普遍的なデザインが、クルマだけでなく多くのモノに求められているんだと思います。そして奇しくも、そういうモノの多くが、80年代に生まれているというのも面白いです」
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1980年代といえば、いまの50代から60代の人々が青春を謳歌した時代ですが、この世代のユーザーがジムニーに戻ってきている一方で、新たな世代が今のジムニー人気を支えているというのは、株式会社タニグチの谷口武氏です。
「かつては40代以上のお客さんが大半でしたが、今は20代から30代の人たちとの割合が50:50になっています。
若返りの要因のひとつが、現行モデルが先代とは違ってファッションアイテムになり得るということ。
見たら誰でも分かる機能美デザインのジムニーに乗るというのは、アウトドア派の若者にとってはノースフェイスやパタゴニアなどの服を着るのと同じ感覚です。そして、若い世代にとってジムニーは懐かしいものではなく、新しいアイテムなのです」
ジムニーの魅力の要因となっているのは、デザイン性やファッション性、新しさだけでないようです。
先日、10代・20代の女性ジムニーユーザー10名ほどと対談する機会を得ましたが、彼女たちの多くが口を揃えていうのは、「ジムニーは、オフロードも走れる本格クロカン4WDなのに、とてもかわいい」という台詞。
彼女たち曰く、大型のオフロード4WDには自然に圧倒されない力強さ、かっこよさがある一方で、他人を威圧するような雰囲気もあるといいます。
ある女性ユーザーは「本音をいえば、ランドクルーザーやラングラーとか大きな四駆に乗りたいんです。でも今は経済的に厳しいし、それに20代の自分が普段乗っている姿を想像すると、ちょっと気後れしてしまいますね」と、大型オフロード4WD独特の雰囲気を指摘していました。
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