若者の愛車は「3ドア」が定番! かつて人気のハッチバック5選

いまでこそ、「ハッチバック」といえば5ドアが主流になっていますが、1990年代後半までは3ドアが主流で、さまざまな車種が登場し人気を博していました。そこで今回は、1980年代から1990年代に人気だった3ドアハッチバック車を5台ピックアップして紹介します。

当時の若者がこぞって乗った3ドアハッチバック

 昨今は、クーペのような流麗なボディのSUVが最新トレンドになっており、若い人にも人気です。

 一方、1980年代から1990年代は今ほど車種やジャンルが多くなく、大人が乗る「セダン」、若者が乗る「ハッチバック」が定番でした。

 今回は、そんな3ドアハッチバック全盛時代に人気を博したモデルを5台ピックアップして紹介します。

●ホンダ「シビック」

大ヒットした4代目シビック(通称:グランドシビック)
大ヒットした4代目シビック(通称:グランドシビック)

 1980年代後半から1990年代初頭のバブル期は空前のF1ブームで、伝説的ドライバー、アイルトン・セナとホンダエンジンのタッグによる大活躍もあり、ホンダ車自体の人気も高まりました。

 当時のホンダのラインナップで、大ヒットしたのが4代目「シビック(通称:グランドシビック)」です。

 もともとは、1972年に2ドアの2BOXスタイルでデビューした初代シビックですが、1973年の「第一次オイルショック」や当時としては厳しい排ガス規制「マスキー法」に適応させた新技術「CVCC」を搭載したエンジンを積んだモデルとして、日本だけでなく世界中で大ヒット。

 1979年には2代目へとフルモデルチェンジし、3ドアハッチバックを中心としたラインナップに変更されます。

 1983年には3代目(通称:ワンダーシビック)へと進化。現在のホンダにも通じる「マン・マキシマム・メカ・ミニマム」という設計理念で実用性を高め、3ドアハッチバックのほかに4ドアセダンや5ドアハッチバックの「シャトル」なども誕生しました。

 バブル前夜ともいえる好景気の波に乗って1987年に誕生したのが4代目(通称:グランドシビック)です。ラインナップは、3代目と同じく3ドア、4ドア、5ドアでした。

 ちょうどホンダがF1で結果を出しはじめた時期と重なり、若々しくスポーティなイメージが強まったところに、全長3965mm×全幅1690mm×全高1335mmのコンパクトで低いスタイリッシュなデザインで登場。とくに若者たちからの人気を獲得しました。

 1989年のマイナーチェンジでは、高回転型でハイパワー(160馬力)を発揮する1.6リッターVTECエンジンを搭載した「SiR」も追加され、さらにスポーティなイメージへと進化。

 適切なサイズの4代目シビックは3ドアハッチバックながら人気を集め、当時の若者の「デートカー」としてもてはやされました。

●トヨタ「スターレット」

 現在のトヨタのエントリーモデルといえば「ヤリス」や「パッソ」ですが、長らくボトムを支えたコンパクトカーといえば「スターレット」でした。

 スターレットの歴史は古く、1973年に当時のコンパクトカー「パブリカ」のスポーティな上級グレードとして「パブリカ・スターレット」の名前で、2ドアと4ドアセダンのスタイルでデビューしました。

 1978年にはプラットフォームを一新した2代目が登場。当時のライバルである日産「サニー」やホンダ「シビック」がFFを採用するなか、FRを採用していたのも特徴でした。この頃からスタイルはハッチバックに変化していきます。

 1984年には3代目へと進化し、ライバルと同じエンジン横置きのFFを採用。さらに1989年に登場した4代目は、性能が大幅にアップしました。

 1996年に誕生した5代目はスポーティな外観が特徴で、5ドアハッチバックもありましたが、3ドアハッチバックが主体でした。

 ボディサイズは全長3740mm×全幅1625mm×全高1400mmとなったスターレットは、エアバッグやABSも標準装備(1997年)され、当時のこのクラスのクルマとしては高い安全性もセールスポイントでした。

 そんななか、クルマ好きから熱い視線を注がれたのは1.3リッターターボエンジンを搭載した「グランツァV」というグレード。

 ボンネット中央にエアインテークを配置し、スポーティさに磨きをかけていました。

 当時お金がなくてもクルマに乗りたかった世代にとって、「スターレット」は手の届く身近な3ドアハッチバックだったのです。

●日産「パルサー」

 現在の日産には、「マーチ」というエントリーモデルがありますが、それ以前は1978年に登場した「パルサー」が日産のハッチバック・ラインナップをけん引していました。

 1974年に発売されたFFエントリーカー「チェリーF-II」の後継モデルとして誕生したパルサーは、デビュー当時は4ドアセダンのみでしたが、翌1978年に3ドア/5ドアハッチバックの派生モデルが登場します。

 1982年にはフルモデルチェンジしたパルサーは、3ドア/5ドアハッチバックのほかに、2ドアノッチバッククーペの「エクサ」というラインナップに変更。

 1986年には3代目へとフルモデルチェンジし、2代目では消滅していた4ドアセダンがまたラインアップに復帰するとともに、販売チャンネル戦略により「ラングレー」や「リベルタビラ」「エクサ」など多くの名前と派生モデルが誕生しています。

 クルマ好きにとって忘れられないのが、1990年に誕生した4代目でしょう。3代目で増えすぎた車種を整理して再びパルサーに統一しましたが、1.3リッターから1.7リッターディーゼルまで6種類のエンジンを搭載。

 ボディは3ドアハッチバック、4ドアセダン、5ドアセダン(実際はハッチバック)となっており、11種類ものグレードを展開していました。

 そのなかでも話題を集めたのが過激なスポーツモデル「GTI-R」です。

 折しも当時の日産には「スカイラインGT-R(R32型)」があり、レースでも連勝中。さらに世界ラリー選手権(WRC)への参戦をGTI-Rで果たすため、GT-Rに通じる230馬力を誇る2リッターターボエンジンとフルタム4WDシステム「アテーサ」の組み合わせを実現。

「3ドアハッチバック界のGT-R」として、多くの若者たちから熱い視線を注がれました。

 その後1995年には5代目へフルモデルチェンジ。3ドアハッチバックには新たに「パルサーセリエ」という名称が与えられましたが、GTI-Rのような過激な性能のターボモデルは存在せず、徐々に以前のおとなしいパルサーへと逆戻りしてしまいました。

【画像】若者に人気だった懐かしの3ドアハッチバック(18枚)

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