マツダ「e SKYACTIV-X」は別次元の車に変貌!? 「進化するエンジン」マツダの狙いとは
e SKYACTIV-Xのキモは「燃料制御の緻密化」
試乗後、エンジニアらとの試乗感想を基に意見交換したうえで、パワートレイン開発・総合制御システム開発担当・執行役員の中井英二氏からe SKYACTIV-Xの技術詳細について説明を受けました。
それによると、e SKYACTIV-Xのキモは「燃料制御の緻密化」だといいます。
ロジックとしては、クルマ全体の進化に対するエンジン側の「狙いの性能」を想定し、それを実現するための気筒内での「狙いの燃料」を実現するため、さまざま指標でのデータを検証。
そのうえで、とくに効果的だったのが排気ガスを再循環させるEGRの制御の精度を高めて、より多くの空気を取り入れて大幅なトルク増に結び付けています。
社内計測値として、最大トルクは224Nmから240Nm、最大出力で180馬力が190馬力と、見た目の数字では差は小さく感じるかもしれませんが、トルクカーブはまったく違う印象です。
トルクの立ち上がりが2000rpmまで高く、さらに2000rpmから4000rpmまでトルクの厚みを増していきます。
この差を、クルマ全体の走りの差として、ドライバーが実感するのです。
回転上昇とともに加速度が上昇する、気持ち良い走りも、グラフ上での差が明確化されていました。むろん、エンジン側の進化とAT制御との連携の精度もさらに上げています。
また、アクセルを早く多めに踏み込んだ際には、スーパーチャージャーの過給開始を早めて、さらにモーターとスーパーチャージャーとの連携も強化しています。これが瞬発力、として効いているのです。
この後、6速MTでの新旧乗り比べもしました。
トルクの厚みやアクセルレスポンスの良さは6速ATと同じく、クルマ全体としての使い勝手は上がっています。
ワインディング路では現行車で3速走行だった地点を4速で十分トルクがあり走りやすく感じました。
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今回、大きく進化したことが分かったe SKYACTIV-X。進化の源である、ソフトウエア「SPRIT #1.1」ついて、既にSKYACTIV-Xを購入しているすべてのユーザーに無償でアップグレードすることを検討中だといいます。
今回は、SKYACTIV-Xの進化の第一弾です。マツダは、そう表現しています。
理想の内燃機関の実現に向けて、マツダのたゆまぬ努力はこれからも続きます。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
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