なぜホンダが鉄道駅を新設? 東武東上線18年ぶりの新駅が誕生する理由
2020年10月31日に、東武東上線としては18年ぶりの新駅となる「みなみ寄居駅(ホンダ寄居駅)」が誕生します。この駅は、自動車メーカーであるホンダが出資して出来たという経緯がありますが、なぜホンダが新駅を新設するのでしょうか。
なぜホンダが駅を作るの? その背景とは
昔から、鉄道と自動車は移動手段としてライバル同士と位置付けられていました。
しかし、実際にはクルマの部品の運搬や従業員の移動には鉄道は欠かせないものになっています。
2020年も、新しくホンダの工場に隣接する新駅が誕生します。今回は、東武東上線に新しく仲間入りする「みなみ寄居駅<ホンダ寄居駅>」について紹介します。
今回、新駅が作られるのは、都心から電車で約1時間30分と離れた埼玉県の郊外にあります。クルマ通勤で問題なさそうエリアですが、ホンダはあえて新駅に出資をおこないました。
その理由は、何なのでしょうか。
そもそも、自動車メーカーの工場が鉄道駅に隣接するパターンは今までにもありました。
例えば、JR山陽本線「向洋(むかいなだ)駅」は、マツダ広島本社工場に近く、東武鉄道伊勢崎線・桐生線・小泉線の「太田駅」は、スバル群馬製作所本工場の最寄り駅になっています。
そして今回は、ホンダの埼玉製作所「寄居完成車工場」に隣接する駅が新設されます。
それは、2020年10月31日(土)から開業する東武東上線の「みなみ寄居(よりい)駅」です。東武鉄道としては3年ぶり、東武東上線としては18年ぶりの新駅になります。
ホンダ寄居工場への通勤利用メインであることから、ホンダが開設費用を負担します。そのため、副駅名も「ホンダ寄居駅」になっています。
埼玉県北西部に位置する寄居町にはすでに8つの駅があり、みなみ寄居駅は実に9番目の駅です。
東武竹沢駅から男衾(おぶすま)駅の間に位置し、10月31日から記念の乗車券も発売されます。
なお、東武鉄道は、みなみ寄居駅<ホンダ寄居駅>について次のように説明しています。
「新駅『みなみ寄居』は、寄居町の南側に位置する駅として分かりやすく、また親しみを込めて“南”を平仮名で表記しました。
同駅をホンダ寄居工場への最寄り駅として、国内外のホンダ関係者が多く利用することから、副駅名を<ホンダ寄居前>とし、ご利用の方々や住民の皆さまにわかりやい名称としました」
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では、なぜ費用を出してまで公共交通機関でのアクセスにこだわるのでしょうか。
それには、ホンダの関東における四輪車の生産拠点が、2022年3月までに埼玉県寄居町のホンダ埼玉製作所(寄居工場)に集約することが関係しています。
集約は2021年をめどに終了するとされており、今後はより多くの従業員が寄居工場に通勤することになります。マイカー通勤の増加は渋滞に直結するため、ホンダとしても避けたいところでしょう。
また、寄居工場は、ホンダのものづくりを発信していく拠点としての機能も担っています。世界中の生産技術者が訪れることから、公共の交通手段を確保するのは重要です。
ホンダ寄居工場以外に観光や商業スポットもなく、当面はホンダの目論見通り社員の通勤での利用がメインになるでしょう。
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