「ホンダe」やレクサス「UX300e」…2020年に新型EVが続々登場する理由
10月22日、レクサス初の電気自動車(EV)「UX300e」が発表された。このレクサスUX300eや「ホンダe」、そしてアウディ「e-tronスポーツバック」やプジョー「e-208」「SUV e-2008」など、2020年は日本車・輸入車問わず日本で多くのEVが発売されている。その理由はなにか、考えてみた。
2021年導入予定 欧州の厳しい燃費規制「CAFE」が背後にある
レクサス初のEVとなる「UX300e」が、2020年10月22日に発表された。
また、EVといえばホンダからも、同年8月に「ホンダe」が発売されている。
さらに輸入車に目をやれば、アウディのEV「e-tron Sportback」(2020年9月発売)、プジョーのEV「SUV e-2008」(2020年9月発売)と「e-208」(2020年7月発売)、DSのEV「DS 3 CROSSBACK E-TENSE」(2020年7月)が発売されている。
ちなみにメルセデス・ベンツは、2019年7月に、すでにEVの「EQC」をリリースしており、昨年から今年にかけて、数多くの新型EVが日本に登場している。
では、なぜ、突然のように、これほど多くのEVが日本で発売されるようになったのだろうか。
その理由は明確だ。答えは欧州のCAFE規制(Corporate Average Fuel Efficiency)と呼ばれる燃費規制となる。
これは、個々のクルマではなく、企業ごとに燃費を規制しようというもの。その自動車メーカーが発売する車両すべての燃費を合算し、その平均で見るという方法だ。
しかも、CAFE規制が設定する燃費性能に届かなかった場合、販売したクルマの数だけ罰金を課するというのも特徴だ。
さらに、その目標値が非常に厳しい。1リッターあたりの走行で排出するCO2排出量が、95gだというのだ。
これを燃費に換算すると、約24.4/L。日本のコンパクトカー・ハイブリッド車であればクリアできそうなものだが、高級大型セダンやスポーツカーでは至難の業。さらに、最近の流行であるSUVもクルマが大きく重いため、燃費性能的には不利となる。高性能な大型SUVであれば、当然、約24.4/Lの目標クリアは絶望的といっていいだろう。
しかもこのCAFE規制の厳しいのは、CO2排出量が95g/Lの目標をオーバーした場合、1gあたり1台に95ユーロ(約1万2000円)の罰金を課すという。この罰金額も厳しい。
計算すると、10gオーバーしたクルマ(それでも約22.1/l相当)を10万台売るだけで、9500万ユーロ(約10億2000万円)の罰金だ。そのため、燃費の悪い大型車やスポーツカー、SUVを数多く売るメーカーにとっては、罰金が莫大なものになる。
メーカーごとの罰金が10億ユーロから40億ユーロ(日本円で約1250億円から約5000億円)に上るという試算さえある。これは経営にとって大打撃なことはいうまでもない。しかも、CAFE規制の導入は2021年。まさに目の前に迫る危機だ。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。