【実録】コロナ禍真っ只中に欧州のモータースポーツ取材に行ってみた!

新型コロナウイルス(Covid-19)が欧州で猛威を奮っていた時期に、果敢にも日本からモータースポーツの取材に渡欧したカメラマンによる、コロナ禍における欧州のモータースポーツの裏側のルポルタージュ。これから渡欧しなければならない人も必読。

コロナが感染ったらサヨウナラ

 世界中を不安のドン底に追いやったCovid-19。今さら語るべくもなく状況は刻々と変化していて、この先どうなってしまうのかなんて、どんな偉い学者先生にだって本当のところはわかってない様子。

 感染が拡大するにつれて各国は国境を閉鎖。まさか21世紀にもなって自由な移動が制限されるなんて思ってもいなかった。

 年に5、6回ほどヨーロッパへラリーの取材に行っているのだけど、2020年も一連の騒ぎが始まる直前の1月から3月と、各国がロックダウンなどの経験を経て新しい生活様式を模索している最中の9月にもフランスに渡航したので(都合3回)、その時の様子を主にラリーの現場や街の様子を中心にお伝えしてみようと思います。

●2020年1月ごろのアジア人への差別報道は、ちょっと大げさかも

1月末に開催されたラリーモンテカルロヒストリック。この頃、インフルエンザは流行っていたけど、いつものことだと思っていました
1月末に開催されたラリーモンテカルロヒストリック。この頃、インフルエンザは流行っていたけど、いつものことだと思っていました

 モンテカルロ・ヒストリックの取材でフランスに渡航する少し前に「インフルエンザが流行ってるから気をつけて」とフランスの友人から連絡をもらったのが今年の1月。この頃にはアジア人に対する差別が云々、といった内容の報道が耳に入るようになっていて、実際にボクも街を歩いていた時に「どこから来た? インフルエンザじゃないだろうな?」と突然声をかけられたので(フランス語は理解できないので聞き取れた単語でなんとなくの意訳)「うるせー、お前に答える義務はねーよ!」と英語で言い返したのだけど、たぶん理解してくれてないだろうなあ。

 とはいえ、1年のうち90日ほどヨーロッパに滞在していてもあからさまな差別を受けることは稀で、大多数の人は旅人に優しいので日本での報道は大袈裟な部分もあったように思う。ラリー自体も予定通りに進行して、いつものように多くのギャラリーも詰めかけていた。ソーシャルディスタンスなんて概念はこの頃にはなかったので、今にして思えばこの頃すでに蔓延しつつあったんじゃないのかなあ?

●2020年3月、あわや帰国できない状況に……

2月のWRCラリースウェーデン。スウェーデンはロックダウンなどの対策をおこなわず、集団免疫の獲得を目指した数少ない国。この頃はまだCovid-19なんてどこ吹く風みたいな雰囲気でした
2月のWRCラリースウェーデン。スウェーデンはロックダウンなどの対策をおこなわず、集団免疫の獲得を目指した数少ない国。この頃はまだCovid-19なんてどこ吹く風みたいな雰囲気でした

 その後、2月にWRCスウェーデンに行った時もいつもと同じ雰囲気。様子が一変したのが3月だった。

 フランス選手権ラリーの開幕戦の取材のために再びフランスへ。さすがに乗客が少なくなったのか航空券は往復で約6万円だった。

 東京−沖縄往復と変わらない価格に喜ぶ一方、不安を感じたことも事実。同じ日程で開催予定だった隣国ベルギーのラリーが開催前日に中止が決定したあたりから、周りの人たちも「こりゃ、なんかヤバイぞ」とザワザワし始めた。

 このラリーにベルギーからやって来るメカニックの友人からは「フランス選手権も中止って噂が流れてるけど、なんか知ってる?」なんて連絡がくる始末。結果からいえば、ラリーは予定通り開催されてステージにはギャラリーも多く、いつも通りのお祭り騒ぎ。

 DAY1の取材を終えてホテルに帰ってテレビをつけると、マクロン大統領が演説していました。当然フランス語だし英語字幕もないので内容は理解できないけど、なんとなくイヤな雰囲気は感じ取れた。

 すぐに英語でネットニュースを検索してみると、2日後の月曜の朝からレストランなどは営業停止とのこと。そういえば昼間に航空会社からメールが来ていたけど、撮影が忙しくて見れてなかったなあ、とメールを確認すると、月曜朝に搭乗予定のパリ−ヒースロー便がキャンセル。電話かWEBで変更してねって内容だった。

 過去の経験上、電話が繋がらないことはわかっていたのでWEBから変更しようとすると、どうにも変更できない。電話は当然のように繋がらず。

 この頃からヨーロッパでは欠航が相次ぎ、システムが落ちていた様子。久々のただならぬ雰囲気に、不安よりもワクワクしている自分。ピンチを楽しめるようになるとたいていのことには対応できるので、この時もとくに深くは考えていなかった。

3月のフランスラリー選手権の開幕戦、Rallye du Touquetの様子。この頃にはすでに世界中で感染が拡大中。フランスに滞在中はなんとなくイヤ~な雰囲気が 迫りつつあるのを感じていました
3月のフランスラリー選手権の開幕戦、Rallye du Touquetの様子。この頃にはすでに世界中で感染が拡大中。フランスに滞在中はなんとなくイヤ~な雰囲気が 迫りつつあるのを感じていました

 ラリーが開催されたル・トゥケはドーバー海峡にほど近いリゾート地。夏は避暑地として賑わう街らしいのだけど、3月は天候が不安定でしかも寒い。ここまでの寒さは予想外で、冬用の上着は持ってきていなかったので、ありったけの服を着込んでレインウェアで寒さを凌いでました。

 ここで風邪でもひこうものなら飛行機に乗れないかもしれないなあ、なんて思いながら撮影。それでもステージはスタート、フィニッシュ地点にはギャラリーがたくさん来ていて、この頃はあまり気にしていなかったけど、今なら完全にアウトな密集具合。マスクなんてボクも含めて誰もしてないし。

 唯一普段と違っていたのは、人が密集することを避けるために表彰式のセレモニーがなかったことぐらいでした。

 取材を終えてシャルル・ド・ゴール空港そばのホテルまで、2時間半ほどのドライブ。ホテルのチェックイン時にはとくに変わったこともなく、レストランもいつものように賑わっていて、翌朝からレストランやバーの営業停止が本当なのかと疑いたくなる様子。ところが、翌朝チェックアウトしようとしたら様子が一変。

 フロントは従業員に近づけないようになってるし、ロビーのソファーは座れないように……。空港に着くとショップは全部クローズ。チェックインカウンターは人で溢れていました。WEBでは変更できなかったチケットは結局そのまま。

 パリに着いたのは夜遅くだったので、カウンターでの変更もできず。仕方ないのでヒースローまでの片道分を新たに買い足したのでした。

 ヒースローから羽田行きの乗客数はいつもより少し少ないかなって感じだったけど、ビジネスクラスには出張と思われる乗客、エコノミーには観光客の姿も見られたので、なんとなくほっとした気分で帰国できたのでした。

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