なぜ高級車で? レクサスやマセラティでラリーに参戦する理由とは?

奥様用のマセラティがラリー仕様に変身!!

 一方、オープンクラスにはマセラティ「グランスポーツ」が参戦。エントリーリストを見た時、思わず「え?」と声が出たぐらい驚いた。世界中のラリーの戦績を調べたけど、マセラティの車がラリーに出場したのは、2011年にイタリアで開催された国内戦でボクの友人が「ビトゥルボ」をゼロカーとして走らせたのみ。調べ漏れがあったらごめんなさい。

●マセラティ「グランスポーツ」のラリーカーとは?

まさか日本のラリーでトライデントのエンブレムが見れる日が来るとは
まさか日本のラリーでトライデントのエンブレムが見れる日が来るとは

 グランスポーツで参戦した桝井和寛選手はこれまで1968年式のアルファ ロメオ「1750GTV」で参戦していました。

 海外のラリーだとヒストリッククラスもあって、現代の車種と同じようにガチなラリーがたくさん開催されています。

 現代の技術で製作されたヒストリックラリーカーは、現役当時よりも速くて安全。床の間に飾っておきたくなるような貴重な車種でも、お構いなしに全開で走らせるんです。そんなシーンを目の当たりにしたボクは、いつか日本でもこんなシーンを見てみたいなあと思っていたら、桝井選手のアルファが登場した次第。

 そんな桝井選手になんでまたグランスポーツなのかを尋ねてみたら「エアコンとパワステが欲しかったから」と冗談とも本当とも取れる返事。お互い関西人なのでここはツッコミを入れるべきなのか否か、5秒ほど考え込んだけど、気を取り直して聞き取り調査を敢行。するとこのクルマ、元々は奥様用のクルマだったとか。

 外装はホイールが変わってるぐらいだけど、ラリー車になってしまったグランスポーツを見た奥様の反応が気になります。

 突貫作業で製作されたグランスポーツは、足回りとタイヤ、ホイール、ブレーキ。それにシートとロールケージ以外はほぼノーマル。ステアリングも純正だし、ミッションだって当然AT。これでほんとに走れるのかな、と、こちらが心配になるほど。

 ところが、といっては失礼だけど、ステージを重ねるごとにタイムアップ。いろいろ試した結果、ATモードで走るのが一番速かったそう。しかも、移動区間だけではなくステージでもエアコンを使っていたとか。周囲の不安をよそにトラブル無しで無事に完走したのでした。

* * *

 参戦クラスも競技に対するスタンスも違う両車だけど、似たような車種しか参戦していなかった競技に、大排気量V8エンジンを積んだスーパーカーで参戦なんて、ともすれば変わり者扱いされそうだけど、勝てる可能性を見出したRC Fと、優雅に快適に走るための選択だったグランスポーツ。どちらも大義名分はしっかりしていているように思えます。もちろん、万人向けではないのだけど。

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