軽人気のなか日産「ルークス」が伸び悩み? N-BOX絶好調のホンダと異なる事情とは
軽ナンバー1を独走するホンダと日産では事情が異なる?
一方、ホンダ N-BOX、スズキ スペーシア、ダイハツ タントのライバル3車は、各メーカー内でも突出して高い売れ行きになっています。N-BOXは初代モデルから高い人気を誇り、いまでは国内販売の総合1位です。
N-BOXは販売が好調なので、国内で売られるホンダ車の30%以上を占めています。いまのホンダの国内販売は、N-BOXに偏っているのです。

スペーシアは軽自動車が中心のスズキ車で、標準ボディとエアロ仕様のカスタムのほかに、SUV風の「スペーシアギア」も用意しています。多彩なグレード展開もあって、売れ行きを伸ばしました。
タントはダイハツの代表車種です。先代型が発売された翌年の2014年には、販売台数がN-BOXを抜いて国内の総合1位になっていますが、その実績を考えると、ダイハツとして現行タントの売れ行きは不満でしょう。
現行モデルのタントは2019年に発売されながら、2020年1月から9月の販売台数で、N-BOXだけでなくスペーシアにも抜かれました。
そこでタントは、装備を充実させながら価格を据え置いた買い得な特別仕様車を投入していますが、狙った効果を上げていません。
このように見てくると、ルークスの売れ行きがN-BOX、スペーシア、タントに続く4位なのは、妥当な結果にも思えます。
軽自動車のスーパーハイトワゴンというカテゴリに限定すると、ルークスは4位なので伸び悩んでいる印象を受けますが、逆にいえば、日産のほかの車種が好調に売れる余地があることも示しています。
N-BOXやスペーシアに匹敵するほど売れ行きを伸ばすと、デイズやノートの販売力が低下するなど、バランスを悪化させる原因にもなるからです。
販売の好調なルークス+デイズ+ノート+セレナの台数を合計すると、国内で売られる日産車の60%から70%に達します。
国内における日産車の売れ行きを見ると、人気車と不人気車の差が激しいですが、この状態が長く続くとほかの車種の改良が滞ったり、車種数が減るなどの影響も出始めるでしょう。
日産は今後、国内で販売するクルマを充実させる方針を打ち出しています。新型SUVのキックス、2021年に発売される電気自動車「アリア」などを含めて、新型車を中心にバランス良く販売することを考えて欲しいです。
それが日産車ユーザーのメリットに繋がり、売れ行きを伸ばすことにも結び付きます。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。




























