なぜ軽は64馬力規制を継続? 普通車は16年前に撤廃も 規制故に出来る事とは

自動車メーカーの自主規制である「馬力規制」ですが普通車は撤廃されていたにもかかわらず、軽自動車はいまでも64馬力のままです。その理由はどこにあるのでしょうか。

普通車に「280馬力規制」がおこなわれた理由

 かつて自動車メーカーは、普通車や軽自動車に対して、それぞれ「280馬力規制」、「64馬力規制」という、最高出力を抑える自主規制をおこなっていました。
 
 現在、普通車の280馬力規制は撤廃されていますが、軽自動車の64馬力規制は残っています。なぜ軽自動車は現在でも自主規制を継続しているのでしょうか。

かつて普通車の「280馬力規制」のきっかけとなったといわれる日産「フェアレディZ(32)」
かつて普通車の「280馬力規制」のきっかけとなったといわれる日産「フェアレディZ(32)」

 クルマは、各国の法規制によって進化する方向が大きく変わります。例えば、世界最大の新車販売市場である中国では、電動車(おもにEV・PHV)を優遇する政策を採ったことで、世界中の自動車メーカーがEVやPHEVの開発に注力するようになりました。

 また、日本では道路運送車両法によって、クルマの保安基準などが定められています。近年、いわゆる「流れるウインカー」を採用する新車が増えたのは、道路運送車両法の改正によってウインカーについての規制が緩和されたためです。

 このように、クルマの開発や販売は、その国の法律や規制によって大きく影響を受けます。

 一方、こうした法規制とは別に、自動車メーカー各社による自主規制があります。

 なかでも有名なのが前述の「馬力規制」です。1980年代後半、自動車の技術競争が活発化したことで市販車のパワー(最高出力)の増大化が進みました。

 一方で、比例するように増える交通事故を懸念して、運輸省(現国土交通省)が日本自動車工業会に申し入れしたことで実施されたものです。

 バブル景気に沸く当時の日本では新車が飛ぶように売れ、なおかつ輸入車ブランドも日本へ攻勢を仕掛けていたことから、国内の自動車メーカーはとにかく魅力的なクルマを作ることに必死でした。

 そのなかで、もっともわかりやすく性能をアピールできるのが最高出力だったのです。

 しかし、政府が「交通事故非常事態」を発令するほどに、当時交通事故は社会問題となっており、日本の自動車メーカーで構成される日本自動車工業会としては、政府からの申し入れを受け入れざるを得ませんでした。

 その結果、当時のクルマは基本的に最高出力が280馬力へと制限されることになり、普通車の馬力規制の発端となったのは1989年に発売された日産「フェアレディZ(Z32)」といわれています。

 その後、1980年代後半から1990年代にかけて、ホンダ「NSX」や日産「スカイラインGT-R」、マツダ「RX-7」など、名だたる名車が登場しています。

 それらの最高出力が280馬力に統一されているのは、こうした自主規制の影響があったためです。

 しかし、その後各所の努力によって交通事故は次第に減少したことから、2004年に日本自動車工業会は普通車の280馬力規制の撤廃を申し入れます。

 その結果、日産「GT-R」に代表されるワールドクラスのスーパースポーツカーの国内販売も可能となりました。

【画像】新型「フェアレディZ」は何馬力? 新旧「Z」を見比べてみる!(35枚)

【2023年最新】自動車保険満足度ランキングを見る

画像ギャラリー

1 2

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

1件のコメント

  1. 64馬力規制についての記事…「軽自動車の規格・規制」にない!ならば、なぜ責任を取らない役所が”通達”をだし、販売の許可を出さない!のか…その事を語って欲しかった!…どんな商品を選んで買う!かは、国民の自由では ないのかな。軽自動車が日本だけで販売されている…と思っているジャーナリストがいるとは思えないが…妙な記事であると思う。

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー