暴落!! 「599 GTO」が5500万円! モダンフェラーリは今が買い時か!?
スペチアーレの「599GTO」よりレアで高価な「599」とは?
2011年のパリ・サロンをワールドプレミアの舞台に選んだ「599SAアペルタ」は、ピニンファリーナの創業80周年を記念して、ときのV12フラッグシップ、599(日本以外の市場では599GTBフィオラーノと呼ばれる)をベースに製作されたロードスターモデルである。
また、2006年にデビューした599シリーズ全体の、ファイナルモデルとしての意味合いも持たされていた。
●2011 フェラーリ「599 SAアペルタ」with ファクトリーハードトップ
その名は、長らくピニンファリーナを指揮してきた中興の祖「セルジオ(Sergio)」ピニンファリーナと、その後継者として活躍しつつも2008年に急逝した「アンドレア(Andrea)」ピニンファリーナからなる2人のイニシャルに、「オープン」を意味する「アペルタ(Aperta)」を組み合わせたものといわれている。
選ばれたパワーユニットは、もともとエンツォ・フェラーリの心臓部として誕生したF140系6リッターV型12気筒エンジン。ただし、前年にデビューしていた599 GTOと同レベルのチューニングが施されており、最高出力は670ps/8250rpm、最大トルクは 63.2kgm/6500rpmを発揮するといわれた。
つまり、ファイナルモデルに相応しいオール・イン・ワン。まさしく「究極の599」であった599SAアペルタは、ピニンファリーナの創業80周年に合わせて、世界限定80台のみが製作されたに過ぎない。
しかも今回「The Bonmont Sale 2020」に出品された個体は、わずか14台のみと信じられている、ファクトリー製純正ハードトップを装着した、超レアな一台とアピールされていた。
この希少価値に加えて、新車としてスイス国内にデリバリーされて以来ワンオーナー車であること。以来9年間の走行距離は、わずか1120kmに過ぎないこと。そして、WEBカタログの写真を見る限りでは、当然ながらエクステリア/インテリアのコンディションも新車そのものに映る。
さらに「フェラーリ・クラシケ」のレッドブックをはじめとするブック類やドキュメントが完備していることなど、高価格を維持させるに相応しい条件をすべて満たしていたことから、ボナムズ社では110万−140万スイスフラン、日本円に換算して約1億3000万円−1億6000万円というエスティメートを設定されていた。
すなわち、今回同時出品された599GTOのエスティメートの2倍と見積もられていたことになるのだが、これは599GTOと比べると7分の1以下という生産台数が、大きく影響していると見て間違いあるまい。
ところが、実際に競売が始まると入札は振わなかったようで、結局流札。継続販売となってしまったようだ。
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今回の「The Bonmont Sale 2020」に出品された2台の599系スペチアーレの競売結果を見ていると、新型コロナ禍にあって、フェラーリのマーケット観にも明らかな変化が生じているかに感じられる。
1970年代以前に生産された、純然たる「クラシック」モデルについては、その時々に乱高下が生じることもありつつ、概ね高値安定が続いているようだ。
それに対して、今世紀のモダンフェラーリについては、たとえ「スペチアーレ」であっても、こと量産モデルベースのものについては、これまで猛威を振るってきた神通力に若干の陰りが出てきているかに見えるのだ。
もちろん、これまでの「マネーゲーム」を遠巻きに敬遠していた真のエンスージアストたちからすれば、ようやくマーケットが正常化に向かい始めたという見方もあり得るだろう。いずれにしても、今後も国際オークションにおけるフェラーリの動向は注視していきたいと考えている。
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