日本と欧州で人気差が存在? 国産ステーションワゴン下火でも定番化が続くワケ
国内では縮小傾向にあるステーションワゴン市場ですが、輸入車では定番のカテゴリとして販売されています。なぜ国内外でこのような違いが生じるのでしょうか。
国産ワゴン下火でも海外では人気継続のワケとは
昨今は、SUVやミニバンといったカテゴリに押されて、国内のステーションワゴン市場は縮小傾向にあります。
しかし、日本では下火のワゴンも輸入ブランドでは定番のクルマとなっています。SUVブームは世界的なものにもかかわらず、なぜ海外ではワゴンの需要は高いままなのでしょうか。
ステーションワゴンは、セダンのような高い走行性能と快適性と、大きな荷物も積むことができる高い積載性を兼ね備えたクルマです。
国内では、スバル「レガシィツーリングワゴン」が火付け役となったブームによって、1990年代頃から主流のカテゴリとして定着しました。
しかし、昨今の国内市場ではSUVやミニバン、コンパクトカーといったカテゴリが拡大しており、相対的に日本国内のワゴン人気は衰退していきました。
2020年9月時点で、国内市場で販売されるワゴンは、トヨタ「カローラツーリング」、「プリウスα」、ホンダ「シャトル」、スバル「レヴォーグ」、マツダ「マツダ6」です。
一方で、ワゴンは輸入ブランドで定番のモデルとして根付いており、メルセデス・ベンツやBMW、アウディといったドイツ御三家以外にもボルボなど、多くのブランドでラインナップされています。
なぜ日本と欧州では、販売動向に違いがあるのでしょうか。
国内市場でワゴンが下火になった要因として、2010年頃から続いているSUVブームが挙げられます。当時は、日産の2代目「エクストレイル」やマツダの初代「CX-5」などがミドルサイズSUVとして登場。
また、日本の道路事情にも適したコンパクトSUVとして、日産「ジューク(2010年)」、ホンダ「ヴェゼル(2013年)」、マツダ「CX-3(2015年)」、トヨタ「C-HR(2016年)」が続々と登場しました。
SUVは、セダンやワゴンと比べて背が高いことから、広い室内とラゲッジスペースを有しています。また、昨今のオフロードテイストのデザインやクーペSUVといった流線美な造形など、細分化するユーザーのニーズに合わせてさまざまなモデルが登場していることも人気に拍車をかけています。
昨今のワゴンやコンパクトSUV人気について、国産メーカーの関係者は次のように話しています。
「かつてワゴンモデルは各社がラインナップするほど定番のジャンルでした。当時は、セダン同等の走行性能と室内空間がウリだったこともあり、移動やレジャーで活躍するクルマとして人気を博していました。
しかし、その後現在の都市型SUVが登場してからは、ワゴン並みの室内・荷室空間を持ち、日本の道路でも扱いやすいサイズで、デザイン的にも選択肢が豊富なコンパクトSUVが人気です。
さらに、走行性能面でもかつてより断然に進化しているので、普通に運転する分には不安な部分はありません」
※ ※ ※
一方の欧州は、陸続きで国々を移動する文化や習慣があり、そうした際にある程度の積載性(空間)と優れた走行性能が必須です。
さらに、ドイツには一部区間が速度無制限となるアウトバーンが存在するため、日本やほかの地域よりも高い速度域で巡航する機会が多いため、その両方を兼ね備えているワゴンが重要視されています。
ワゴンの需要について、ボルボの販売店スタッフは以下のように話します。
「欧州では高級感漂うカテゴリとして人気で、ワゴンはステータスと認識されています。
また、狩猟の文化がある地域では、狩りに出かける際にワゴンが用いられます、主な理由としては。丈の長い猟銃を運んだり、狩った獲物を運ぶのに収納力が高いワゴンは適しているからです。
とはいえ、割合でいえば欧州でもSUVはもっとも販売されているカテゴリです。しかし、『SUVは大衆車』というイメージから、現地ではワゴンを選ぶ人も多いです」
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SUVはカジュアルでより多くの人が手に取りやすいカテゴリですが、ワゴンは日本と異なる文化と価値観から、海外ではその存在が確立されているといいます。
ボルボの本社があるスウェーデンにもまた狩猟の文化があります。毎年秋になると解禁されるヘラジカ狩りに向けて、ワゴンの活躍の場が増えていくようです。
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